お待たせ。THE歩兵2のレビュー行こう。
THE歩兵2はタムソフト開発のミリタリTPS。
SIMPLE2000THE歩兵、SIMPLE2000THE最後の日本兵、
SIMPLE DS THE歩兵とシリーズを重ねて今回で4作目だ。
THE歩兵のエンジンを使った派生作品の傑作TPS、THE消防隊を含めるなら5作目。
入れるの嫌だけどアンノウンソルジャーをシリーズに含めてしまうと6作目になるか。
舞台は西暦19XX年。
プレイヤーはとある傭兵部隊の新入りとなって紛争地帯を渡り歩く。
全40ミッションのゲームでミッションクリア時に入る経験値でレベルアップ、
入手したお金で武器やアイテム、弾薬を購入しながら進んでいく
今回、武器は拾えないが弾薬や回復アイテムはいっぱい落ちてる。
もちろん同じミッションを何度もプレイすることが出来るので、
弾薬、金、経験値稼ぎをすることも出来るぞ。
操作は移動がアナログパッド。
方向キーで使用武器の切り替えと、
アナログパッドで敵を狙い打てる精密射撃モードへの移行。
Lボタン押しながらで水平移動。Rボタンで射撃。セレクトボタンで強制リロード。
○×□△ボタンで緊急回避や手榴弾投げや体勢変更や近接攻撃など。
これはあくまでディフォルトで、
ボタンに関してはすべて自由自在にキーコンフィグが可能だ。
割と操作性で引っかかることの多いタムソフト製ソフトとは思えない配慮。
まあ移動はアナログパッドオンリーで方向キーに切り替えたり出来ないし、
照準のリバース設定も出来ないんですけどね。ここが惜しい。
最初にジャンルはTPSと書いたが、
緊急回避をガンガン使ってアグレッシブに進んでいくゲームなので、
歩兵2に関してはどちらかというとアクションシューティングと呼んだ方がいいかも
精密射撃での狙撃も重要だが、
今回は過去のシリーズと違って緊急回避を連続でガンガン使用することが可能で
スキも小さくなっているため、狙撃よりもこれを軸にした戦い方重要になってくる。
操作にクセがあるので最初は苦戦するが、
緊急回避で敵の攻撃を避けてハンドガンを叩き込むとか、
緊急回避しつつマシンガンに武器を切り替えて敵を一掃するとか、
緊急回避しながら精密射撃モードに切り替えて敵を狙い打つとか、
緊急回避しながらリロードして回避し終わった瞬間に間髪いれずに攻撃とか、
緊急回避と他の操作を組み合わせて使えるようになってくると格段に面白くなってくる
敵の射撃間隔を見切りつつ、オートロックオンや精密射撃に頼らない、
「プレイヤーキャラの向きだけ」での射撃も併用出来るようになると
超人的なスピードで敵を殲滅出来るようになり、さらに楽しい。
過去作はどうしてもスナイパーライフルでの狙撃頼みになる場面が多く、
THE最後の日本兵なんかは最初に拾ったライフルで最後までいけちゃうけど、
今回は敵もライフルやロケットランチャーやらでかなり積極的に攻撃してくるので
ライフル無双というわけにはいかない。もちろん狙撃も重要なんだけど、
緊急回避をしっかりとマスターした上で、
それぞれの武器の使いどころを考えないと苦戦は必死。
今回はハンドガン、スナイパーライフル、マシンガン、
グレネード、ロケットランチャーでそれぞれ使いどころがあるのがいいね。
ハンドガンは一撃の威力が高いし弾薬が沢山手に入るから接近戦で使いやすいし、
マシンガンは複数の敵との戦闘や急いで倒さないといけない時に威力を発揮。
スナイパーは射的外からの先制攻撃に重要だし、
グレネードとロケランは大型の敵やここぞという場面での一撃に。
接近武器のナイフは当てづらいが人型のボス相手で意外な高威力を見せてくれる。
THE歩兵2ならではの目新しい武器がないのは残念だけど、
武器のバランスはかなり良くなってる。使い分けが楽しいわ。
俺が好きなのは緊急回避しながらのグレネード無双だね。
バリケード?知らねぇ!全部吹き飛んじまいな!
ミッションは全40ミッションで、クリアするとエクストラミッションが10追加。
つまり全50ミッション。これは驚き。
パッケージに「40ミッション以上!」と書いてあるのに50もあるなんて!
SIMPLEシリーズで40以上と書いてあったらそれは40ってことですよ普通なら!
同じマップを何度もプレイすることにはなるし、
難易度が高く、1ミッションが結構長めなので少々ダレる時もあるが、
敵配置は結構工夫してあるし、稼いで強い武器を購入する楽しみもある。
ミッションも敵殲滅、目標破壊、目標防衛、目標救出など複数あり、
何よりゲーム自体が面白いので、
ダレを感じつつもチマチマと遊び続けてしまう魅力はあるね。
ちなみにミッションで一番面白かったのは31。
スタート地点背後の防衛ライン目指して敵が殺到してくるので、
とにかくタイムリミットまで敵を突破させないようにひたすら敵を倒す!
突撃してくる兵士とそれを援護する兵士に分かれたチームプレイをしてくるし、
時間が経つと敵戦車が投入されるのでマジ気が抜けない。
レーダーを凝視しながらマシンガンで倒しまくるのがとにかく熱かった!
短時間でピシッと終わるのもいい。
防衛ラインを守るミッションがこれだけだったのはホント惜しいなあ。
味方トラックを守るミッションとかいらないからこういうのを10個くらい入れて欲しかったぜ
グラフィックや敵もかなり進歩してる。
敵兵士は攻撃の合間にちゃんとリロードをするし、
ザコ敵にヘッドショットを決めるとヘルメットが吹き飛ぶ。
ジャングルステージや雪山ステージの臨場感はなかなかのものだし、
高低差のある基地ステージは最初見たとき感動したなあ。
高射砲や哨戒艇、戦車にヘリに人型のボスに、
どこかで見たことのある敵の超兵器など
使いまわしは多いが敵のバリエーションもなかなか豊富。
人型のボスはTHE歩兵1のラスボスのように
緊急回避しながら確実に攻撃を決めてくる上に強いのでかなり熱い戦いになる。
倒すとわざとらしい捨てセリフを吐きながら、
わざとらしいポーズでわざとらしい爆発と共に死ぬ点にはボスの美学を感じた。
ボスらしいボスがラスボスだけだったTHE歩兵1と違い、
要所要所で何度も戦うことになるのがいいね。女もいたりする。
THE歩兵といえば軍曹というくらいに重要な軍曹は今回も健在。
軍曹はフルメタルジャケットのハートマン軍曹のパロディなんだが、
ソニーチェックの関係かセリフが全体的にマイルドになっている。
でも、それがむしろ味になっていて俺は好きだね。
今回は過去の作品に比べてボイスが増えているし、
デモシーンのカメラワークも凝りまくり。エンディングでのセリフもいい。
何より声がいいんだよなあ軍曹。あの声を聞くとなんか安心するんだ。
あとテーマ曲。
今回もタイトル画面とスタッフロールで流れるんだが、
スタッフロールで流れるverは是非聞け!とだけ言っておこう。
個人的にはこれだけで2000円分くらいの価値はあったぜ。あの発想はなかった。
欠点は難易度の高さだなあ。
イージーの序盤でもマシンガンの十字砲火食らったら
一瞬で体力の大半を持っていかれるのはいくらなんでも問題あると思う。
演習からスタートするのに敵の攻撃力が殺しに来てるレベルで、
最初の1面から死にまくって覚えないといけない。
慣れるとPSP向けに考えられてるなと思えるが、操作も結構クセがあるのでさらに辛い。
輪をかけて酷いのが開始時だとレーダー無しって点だな。
ゲームを進めていくことで高性能なレーダーが買えるようになっていくんだが
こういう「プレイヤーキャラの性能がマイナスからはじまる仕様」
って基本的に嫌いなんだわ。タムのゲームに多いけど。
最高性能のレーダーでもマップの確認が出来ないから道に迷いやすいのもちょっと。
頑張って進めれば強力な武器が手に入ったり
キャラが強くなったりでどんどん面白くなっていくし、
エクストラミッションの雪山ステージとかもいい感じなんだけど、
そこに行くまでに投げる人も多そう。
通常移動するとスタミナが一瞬でなくなって走れなくなるってのも辛いね。
スタミナをほとんど消費しない緊急回避連発で移動すれば良いんだけど、
なんでこんなバランスに?
クリア時につけられるランクも厳しくて
ほとんどランクDで稀にCが取れたりするってレベル。
ノーダメージでクリアしてもランクBとかだからね。
ノーダメージで弾を一発も外さずに、かつ迅速にクリアする必要がある。
ついでに言うと1ミッションがTHE歩兵1と比べて格段に長く、
普通にクリアするだけで一苦労なくらいに難易度も高い。
THE歩兵1はランク判定がかなりヌルかったし1ミッションも短かったから
全ミッション全難易度でSランククリアとかも楽しくやれたけど、
今回は挑戦する気がまったく起きないレベルでマゾ過ぎるわ。
無駄に分かりにくい要素が多いのも問題。
説明をなくすことで面白くなってるならともかく、単に説明不足なだけってのが多い。
レベルアップ時にポイントをステータスに割り振れるが、
どのステータスがどういう効果なのか説明が一切ない。
ミッション10のボスで哨戒艇が出てくるが、マシンガンやハンドガンは一切通じず、
グレネードかロケランで特定の部位を破壊しないと倒せない。
これノーヒント。最初の壁。
グレネードを買っていなかったり、途中で弾が切れたらそこで詰み。
ちょっとひどいわこれ。
説明一つ挟むだけで改善されるんだからいい加減こういうとこは直して欲しい。
THE歩兵1に比べると遊び応えは増しているんだが、お手軽さは無くなっている。
難易度は高く、1ミッションは長くなった。
まあ、ここは良し悪し。遊び応えは増しているし、
THE歩兵1とは違った方向性を目指したとも言えるけど、
それでもイージーくらいは優しくするべきだったと思う。
目的地に着いた後スタート地点に戻れとか、
無駄に長いだけのミッションも中盤過ぎくらいから多いんだよなあ。
携帯機なんだしもっと短くして欲しかったし、
敵が急に復活するとかやや理不尽に感じる場面もたびたびあった。
あと、ミッション開始時の軍曹の口上にボイスが付いたのはいいけど
ほとんど使いまわしな上にリトライ時にスキップが出来ない。
THE歩兵1にあったライバルや負傷兵とのちょっとしたイベントみたいなのも無くなってる
まあ、ボスの登場とか他で補ってはいるんだけど、ここは寂しかったな。
最初の敷居は無駄に高いし、
相変わらず敵の頭が悪かったりといった大雑把な部分は多い。
が、それでもゲームとしては非常に面白いと思う。
THE歩兵1以上に遊び応えがあって、THE最後の日本兵以上にゲームの幅が広い。
操作に慣れて敵を薙ぎ倒せるようになると本当に爽快だし、
ランクSを目指さなくても、
とりあえず全ミッションを全難易度でクリアを目指すだけでもかなり長く遊べる。
このゲームで一番素晴らしい部分は
緊急回避を軸に立ち回りを組み立てていく独自のゲーム性だね。
THE歩兵1にも言えるんだけど、
「有名メーカーの出した○○の劣化版、縮小版」といった言葉で片付けられる内容ではなく、
THE歩兵はTHE歩兵である、と言えるのが本当に素晴らしい。
これはある意味、
「SIMPLEシリーズ」そのものを端的に体現していると思う。
何故、SIMPLEシリーズを買うのか。
何故、有名メーカーがフルプライスで出している同ジャンルのゲームではダメなのか。
それはSIMPLEシリーズに
他のメーカーのフルプライス作品には無い独自の作品が多いからで、
THE歩兵も既存のミリタリゲーとは違った魅力とゲーム性に溢れているのだ。
なんていうか、THE歩兵はファミコン時代のゲームっぽいんだよね。
一見するとよくあるTPSっぽいんだけど、筋肉ムキムキのキャラが
マシンガンだけで敵を何百体も倒しちゃうような
あの時代のゲームっぽい雰囲気がある。
そこが心地良いし、軍曹とか大仰なボスとかのバカゲーっぽい部分も楽しい。
こういうSIMPLEシリーズらしい肩の力の抜け具合には癒されるぜ。
そして何より、俺はTHE歩兵2がSIMPLEシリーズのまま、
ここまで進化してくれたことが本当に嬉しい。
THE地球防衛軍もTHEお姉チャンバラも
結局完全版やらフルプライスやらに逃げてしまったけど
THE歩兵はSIMPLEシリーズのまま、まさに歩兵の如くここまで歩いてきてくれた。
それが、本当に嬉しいんだ。
ここまで歩いてきてくれてありがとうと、素直にそう言いたい。
まあ、アンノウンソルジャーはフルプライスだったから
歩兵シリーズがSIMPLEだけを歩いて来たってわけじゃあないんだが……。
あれはもうベツモノってくらいシステムが劣化してるからねぇ。微妙なところ。
エンジン自体はTHE歩兵と同じものを使ってるんだろうけど、
ホフクも緊急回避もレーダーも軍曹も撃つ楽しさも無いからなあ。
果たしてあそこまでつまらなさが天元突破してる作品を歩兵シリーズと呼んでいいものか。
そもそもアンノウンソルジャーの独自要素と言えるもので、
THE歩兵2に引き継がれているものが何も無いからねぇ……。
アンノウンソルジャーって一体なんだったんだろう。もはや存在自体がアンノウン。
一回やってみてくれよマジひでぇから。いや、やっぱりやらなくていい!やるな!
そんなわけでSIMPLE2500THE歩兵2。
発売延期で随分と待たされたが、それに見合った見事な内容だ。
敷居の高さで万人向けじゃないのが本ッ当に惜しいが、
THE歩兵シリーズの集大成。値段分以上は楽しめる一本。
THE歩兵1とはまた違った魅力のある作品なので、
1と2セットで遊んでみるのもオススメだぜい。
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今度店で見かけたら買ってみようかな。