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「はじめてのクソゲー」読了

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9月10日に電撃文庫から発売されたクソゲーラブコメ「はじめてのクソゲー」!
読み終わったので感想書くぜ!
いやー、ラノベの新刊買ったのなんてダブルブリッド最終巻以来だわ。

目当てだった国民的ゲームが売り切れだったので
何気なく「インフィニット・ダークネス」という
聞いたこともないメーカーのRPGを買った主人公の
このバグだらけの酷いクソゲーをきっかけに
同級生で実はクソゲーマニアだった天野雪緒との交流がはじまり……という内容。

主人公の設定が
「自分のブログにゲームの感想や批評などを書き込んでいるゲーマー高校生。
今回買ったゲームがバグだらけのひどいクソゲーだったのでブログで酷評した」

というもので、
こんなに親近感の湧くラノベ主人公に出会ったのは初めてかもしれない……。

まあ「基本大手メーカーのゲームしか買わない。大手メーカーのゲームが一番安全」
というキャラなのでそこは俺とかなり違うけどね。

バグでゲームバランスがぶっ壊れてるので
通常攻撃だけでひたすらザコを倒し続けて経験値稼ぎを続けているうちに
憔悴していく主人公の描写とかはなかなか他人事とは思えなかったが、
内容自体はかなり薄い。

登場人物はちょっとだけ出てくる主人公の友人を含めても3人。
ゲームを攻略する描写と日常パート繰り返すだけなので淡々としてる。
「ゲームの主人公の視点」から見たパートも挟まれていて、
ゲームの主人公からするとバグは
「数々の不可解な現象」「発狂した住人」などと映ったりしてる。
後半の展開にも掛かってくるパートではあるんだけど、
ここはテンポ悪くなってるし視点としても中途半端かなあ。

そもそも「バグだらけなのはクソゲーじゃなくてバグゲーでは?」
という疑問もあるんだが、
そのバグも突然プレイヤーキャラが画面に埋まってフリーズするとかは良いとして、
街の住人の会話テキストがぐちゃぐちゃに入れ替わっているとか、
バグでフィールド画面にラスボスしか出ないとかは
いくらフィクションとはいえさすがにちょっとリアリティが無さ過ぎる感が。
「プレイステーション2」が元ネタだと思われる
「プライムステーション・セカンド」のゲームなのに、
ファミコンでも市販の商品でここまで酷いのは無いだろうってレベル。
内容がテンプレのRPG的展開なのも読んでてあんまり面白みが無い。
この辺はもっと文章やセリフに勢いがあればうまく誤魔化せたかなー。

まあ、シナリオの2話と3話が入れ替わっていて
話が意味不明になってるゲームを俺は今年に入ってから遊んだことがあるので、
このバグ描写は大げさとはいえ完全に非現実な話というわけではないのだけれども。

ヒロインであるクソゲーマニアの雪緒は
大作ゲームしか遊ばない主人公を「メジャーゲームしか遊ばないぬるゲーマー」と挑発し
バグだらけのインフィニット・ダークネスは最高のゲームと絶賛し、
クソゲーだらけだったファミコン(劇中ではホムコン)時代に生まれたかったと嘆く。
主人公とはまさに水と油のゲーマー観を持っていて対比になっている。

かなりのクソゲーマニアではあるんだが……。
クソゲーを頑張って遊んだり、
ネタにすることに楽しみを見出すのはいい。それが一周回って楽しいのも分かる。
しかしクソゲーが出るということはどこかで誰かが泣いているということだから、
ねじれた楽しみ方であることは自覚しておかなければならないし、
本当はクソゲーなんて1本も出ないのが一番いいという前提を忘れてはいけない。
という考えの俺としてはこのヒロインとは話が合いそうにない!
こいつは発売されるゲームがクソゲーだけになったらバンザイして喜ぶタイプだ!
ふざけやがって!俺はこんな女とラブコメする気にはなれねぇな!

まあヒロインがクソゲー好きなのにはちゃんとした理由があるし、
ムチャクチャで偏った言動の数々に色んな意味で心を揺さぶられて、
「このヒロインとクソゲーについて討論したい」と思わせるあたり
これはこれで秀逸なキャラ造詣なのかもしれない。
ただ、俺が言うのもなんだが
クソゲー好きな自分に酔ってるように見えてしまうのがちょっとね。
そこでこのヒロインあまり好きになれない。

挿絵はパンチラも多くて可愛いし、
いつフリーズしてもいいようにセーブをマメに残すとか、
バグでなんどもナレーションが流れるとかで笑えるとこもいくつかあった。
劇中のゲーム関連の単語はすべて架空のもので
露骨なパロネタっぽいものもあんまり無いんだが、
「この裏技はもしかしてアンサガでは……」「マカマカだこれ!」
となる箇所がいくつかあってそこはちょっとニヤッとした。
それなりに伏線も機能していてオチもまとまってる。
が、文章や構成含めてかなり淡々としていて、
ゲームを題材にしたラブコメ作品としては凡作かなあ。
1本のクソゲーの攻略だけで引っ張ってるのでどうしてもダレてくる。

前述したがもっと文章に勢いがあったら全然違ってたと思うし、
色んなゲーマーや色んなクソゲーを出して話を広げても良かったし、
「なんで俺こんなゲームやっているんだろう……」的な自虐さ、
悲哀さがもっと強くてもよかったな。
ヒロインが「クソゲー大好き。バグだらけのクソゲーが心の底から楽しくてしょうがない」
って極端なキャラで完結しちゃってて変化が無いのも、
逆に話を大味にしてしまってる気がする。

でもクソゲーを話のメインにするラノベってのは無かったからなかなか新鮮だったし
この本を読んでると劇中のクソゲー描写やヒロインの性格を通して
「いやいやこの描写はおかしいだろう、クソゲーというのはもっとこう…」とか
「貴様のクソゲー論には賛同できん!」とか、
自身の「クソゲー観」とでも呼ぶべきものと否応無く向き合うこととなるため、
ゲーマーやクソゲーに一家言持っている人間なら一度読んでみてもいいかもしれない。
なんだかんだで結構楽しめたかな。




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[ 2011/09/12 22:47 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(16)
>「なんで俺こんなゲームやっているんだろう……」
>的な自虐さ、悲哀さがもっと強くてもよかったな。
 シンプル神が言うと言葉が重いぜ
[ 2011/09/12 23:04 ] [ 編集 ]
さすが本物はちがうなあ
[ 2011/09/12 23:16 ] [ 編集 ]
どんだけこの本が大好きなんだよ
[ 2011/09/12 23:41 ] [ 編集 ]
所詮はラノベよ
[ 2011/09/12 23:58 ] [ 編集 ]
>一家言
このブログで初めて知らない言葉を使われた…悔しい!
でも一つ勉強になりました。ありがとう
[ 2011/09/12 23:59 ] [ 編集 ]
ふーん
[ 2011/09/13 00:01 ] [ 編集 ]
> シナリオの2話と3話が入れ替わっていて話が意味不明になってるゲーム
むしろこっちが気になったw
[ 2011/09/13 00:28 ] [ 編集 ]
乙です。
注目されてたのか電撃文庫新刊でどこいってもこれだけ売りきれてたな。
つーか、ラー油はこれだけ構成力と文章力あるんだから
そろそろ本気でラノベ書いてデビューしようぜ。
[ 2011/09/13 01:09 ] [ 編集 ]
キャラのセリフがごっそり入れ替わってるとかテストプレイにはよくあることだけど、市販ではエロゲでもなきゃありえんよねw
あとバグゲーでセーブこまめにってのも本体破壊フラグな気がw
[ 2011/09/13 02:06 ] [ 編集 ]
確かにクソゲーよりもバグゲーの方が多くなったような気はする
ゲームが成立してないレベルのものは「クソゲー」とはまた違うと個人的には思うんだ

あとゲームをメジャー・マイナーで語るのはクソゲーと結び付けちゃいかんだろと
[ 2011/09/13 02:12 ] [ 編集 ]
ラー油ならクソゲーをテーマにしたラノベ書けそうだな
[ 2011/09/13 06:09 ] [ 編集 ]
自分がクソゲーというかクソゲーを語ることが好きなのは、名作は万人にとって名作とは限らないが、クソゲーは誰がやってもクソゲーなので思いを共有しやすいからです。
[ 2011/09/13 06:38 ] [ 編集 ]
うんうん、
「不幸な状況で頑張ったり楽しみを見いだすのが好き」と
「不幸サイコー!世の中不幸まみれになればいい」は
別ですよね。
[ 2011/09/13 11:13 ] [ 編集 ]
KOTYスレのゴーする人と見て楽しむだけの人、みたいな価値観の違いを感じる
[ 2011/09/13 11:28 ] [ 編集 ]
ラー油が言うと正論過ぎるなw
冥界住人の俺はクソゲーだから楽しいんじゃなく、愛せるクソゲーだから楽しいと俺は思ってる
本気でクソなゲームは最初は面白いかもしれないが、愛せるか?と言われたら愛せないな
[ 2011/09/14 01:28 ] [ 編集 ]
うむ
確かに俺も愛せないですねww
でも、、、おもしろいか聞かれると
おもしろいってこたえちゃいますねwww
[ 2011/12/30 18:56 ] [ 編集 ]
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