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小説 仮面ライダーブレイド、キバ、アギト、ファイズ読了!

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小説仮面ライダーシリーズの
ファイズ、キバ、アギト、ブレイドを少し前に読み終えたのでざっと感想をば。

小説仮面ライダーW、オーズ、カブト読了

前回の感想はこちらね。



仮面ライダーアギトは作者が岡村直宏で監修は井上敏樹。
本編を再構成して一冊にまとめた内容。
TV版に近いが設定面では大きく違う点もあり、
例えばあかつき号事件が似たような名前の別の事件になっていたりする。
思春期らしく恋に揺れる真魚ちゃんをメインヒロインに据えたやや少女マンガっぽいノリだが、
G3組がやたら焼肉を食ってるシーンが出てくるとか、
翔一くんが料理するシーンがちゃんとあるとか、氷川さんの不器用描写がしっかりあるとか。
TV本編のノリはしっかり抑えてあって楽しく読めた。
個々のキャラの掘り下げも上々。
特に小説オリジナル設定である涼や氷川さんの過去話なんかは新鮮だったぜ。

ただ、上手くまとめてはあるんだけど逆に言うとそれ以上の内容では無く、
光の力と闇の力の存在が無かったりと
話をかなりシンプルにしてあるので設定面での魅力も薄まっている。
面白いんだけどこのシリーズの他の小説に比べるとややインパクト不足かなあ。
特に「アギト」の設定変更が個人的にダメだった。
より仮面ライダーっぽい話にしたかったのかもしれないけど、
そこ変えちゃうとTV版と根本から違う話になってしまうぜ……。

仮面ライダーファイズは本編のメインライターである井上敏樹が執筆。
本編の再構成に近いがほとんどオリジナル。
以前発売された「仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々」に
30ページちょっとの後日談を追加したものだ。俺は初めて読む。
「このグロ描写が凄い!」的な恐ろしい評判ばかり聞いたが……凄く面白かったよ!

TV版で話に大きく絡んできたスマートブレイン社は存在を匂わせる程度になり、
三原とデルタの存在も消滅してメインメンバーの愛憎劇が中心の構成。
元々そういう要素はあったけど小説版は更にエスカレートしてるな!
草加と真里のやり取りの生々しさはうおお……って感じだし、
言葉が喋れないという設定になった結花と啓太郎の顛末は胸を打つ。
でもTV本編を見た後だと話の進行がめっちゃスムーズに感じられるから不思議!

さすがに井上敏樹が直々に手掛けているだけあって人物描写にも違和感はなし。
たっくんはこういうこと言うしこういうことする!って感じだし、
TV版以上にストレートに下品なセリフが増えているのに
株がまったく下がらない海堂さんはやっぱり海堂さんだわ。かっこよすぎる。
啓太郎も根っこは変わらないままめっちゃ好感の持てるキャラになってた。

グロ描写は確かになかなかのものだ、っていうか井上敏樹は草加雅人が好き過ぎだろ!
色んな意味で愛が溢れる描写だったぜ……。これは子供には読ませられない仮面ライダー小説。

胸が痛くなるような描写。人間とオルフェノクという二つの種族の行方。
TV版はもちろん、劇場版にも通ずる要素が文庫本一冊にギュッと凝縮されていて
「仮面ライダーファイズの原液をそのまま文章にしました」という一冊。
TV版の仮面ライダーファイズは設定やデザインやアクションは最高だけど
話の方は微妙……って思ってた俺も非常に面白く読めた。
確かに要所要所のエログロはなかなか尖がっていたけど単にそれだけの話ではなく、
あの5年後のラストシーンやそこに繋がるまでの伏線も文句無しに綺麗でいい。
人を選ぶのは確かだけど大満足だったよ


仮面ライダーキバは作者が古怒田健志で監修が井上敏樹。
井上敏樹はちょっと仕事しすぎなんじゃねーの?!昔からか!

こちらもTV版をベースにした再構成モノ。
仮面ライダーキバの小説なのにキバット、タツロット、ドッガ、バッシャー、
キング、大牙ニーサン、ジンジンが存在しないという驚愕の内容。
チェックメイトフォーは出てこないわけじゃないが……まあ出てこないのと同じようなものか。
タツロットは最初からいらなかったとか言うなよ!俺もそう思ってるから!
これでまとまるのかと思ったら見事にまとめてあった。

TV本編は「電王の大ヒットで浮き足立ってるな?!」みたいなギャグ要素が多かったが、
小説版はギャグが少なくなってグッとシリアスに。
TV本編だと中盤から巨匠演出でギャグやるだけの嫉妬キャラになっていた静香が
しっかりヒロインしていて、渡との最初の出会いのシーンから始まり、
保護者感情と恋愛感情の混じった想いを抱えながら仲良くなっていく描写がされている。
人間らしく成長していく過程で、自分の中のファンガイアの血に苦しむ渡もイイ!
小説だけあって現在と過去の切り替わりもスムーズ。

渡に静香に音也に次狼にゆりに恵。
どのキャラも人間関係や性格を小説向けに整理しつつ
魅力的になるような掘り下げがされているし、
渡と静香が出会う最初のきっかけとか
「素晴らしき青空の会」の設立経緯とか海外支部の存在とか
TV版の補完も兼ねている要素が多いのも読んでて楽しかったよ。
あと終盤の小説版ファイズっぽい要素が井上敏樹監修かなーと思ったり。

まあ名護さんの扱いだけはかなり悲惨だったけど……。
TV本編の設定を踏まえているので、
序盤の名護さんのまま突っ走ったもう一つの可能性と見れば納得は出来るかな。

TV本編で目立っていたギャグ要素や昼ドラ要素をバッサリ削って、
登場人物の成長。そして人間とファンガイアの関わりに焦点を絞ってある。
とにかく見せたいことがハッキリしていて読みやすい。
本編のコミカルなノリが好きだったって人は合わないかもしれないけど、
アギト小説ほど原作そのまんまな内容では無いし、
ファイズ小説ほどアクが強くは無いしでバランスが取れてる。

本編とはまったく別モノのシナリオ展開を見せつつ、本編で見たかった描写を挟む。
小説仮面ライダーシリーズでは一番ページ数が多くて、
これ一冊できっちり完結してるんだけどあともう一冊読みたいくらいだったぜ。
仮面ライダーキバの小説に何を求めてるかによるが俺は実に気に入った。

しかし小説仮面ライダーシリーズは
TV本編だとやや影の薄かったヒロインがしっかりヒロインしてる作品が多いね。

仮面ライダーブレイドは作者が宮下隼一。
再構成モノではなく、TV本編の300年後を描いた直接の後日談というまさかの内容。
色々あって人類は滅亡寸前。
完全に管理されたドーム都市や、罪人を収容する罪人島、漂流する元・豪華客船などが舞台。
300年経過しているとはいえ、世界観があまりにTV本編と違いすぎる……。
なんか北斗の拳みたいなキャラまで出てくるし!
当然ながら橘さんや睦月は出てこない。橘さんはなんか生きてても許せる感じだけどさすがにね。

この無駄に壮大にしただけの安っぽいSF設定に文章がまったく追いついておらず、
登場人物も外見の描写が全然無い上に無駄に人数が多くて設定も安直。
TV本編を踏まえて考えると
「それがアリならなんでもアリじゃねーか!」って言いたくなる無茶苦茶な後付設定もあったり。

仮面ライダーブレイドの物語に改めて決着をつけた内容ではあるし、
ラストシーン自体は悪く無かったんだが……。
その決着に持っていくための強引な展開や設定が目立って
文章がイマイチなせいもあって最初から最後までどうにもノレなかったぜ。
まあ、小説版独自の最終回ということで、こういうぶっ飛んだのが1冊あってもいいとは思う。

このブレイドの小説はブレイドファンの間でも
ラストシーンが素晴らしかったとか、このラストは原作の否定だとか、
剣崎はそんなことしないとか賛否両論。
「読み手が剣崎一真のことをどういう人物だと思っているのか」
「読み手があのTV版の最終回をどう思っているか」
という2点によって評価が真っ二つに割れているのが面白い。
こういう作品自体を見つめなおす議論の切っ掛けになれただけで、
この本は十分価値があったと言えるかもしれない。

個人的には小説の剣崎は……。
納得はできるけど展開として好みではない、ってとこかな。
TV版から小説版に至るまででこうなってもおかしくない、という理由はしっかり書いてある。
でも剣崎ならもっと違う行動をして欲しかったし、
いやしかし小説版の展開ならばこうなるのも止む無しで……。

と、考えているうちにまたTV版を見直したくなってくる。
もしかしたらこの小説仮面ライダーシリーズで一番理想的な一冊だったのかもしれない。

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今月発売された小説版ディケイドも読み終えてるので出来るだけ近いうちに。
駆け足ではあったけどリ・イマジとしてはすげぇ面白かったんでかなり褒めるよ。



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[ 2013/04/21 00:45 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(5)
レビュー乙っす。
書籍カテゴリに行けばいい話なんだけど別のライダー小説のレビュー記事もあるんだから
リンク貼っておいた方が見やすくなると思いますよ。
[ 2013/04/21 01:59 ] [ 編集 ]
いつの間にかそんなに発売してたのね…w
ブレイドは読むのが怖いなぁ…「自分を犠牲にして友達を助けて、さらに自分の運命も諦めない剣崎」って凄くハードルが高い人物だよね…w
[ 2013/04/21 02:07 ] [ 編集 ]
>書籍カテゴリに行けばいい話なんだけど別のライダー小説のレビュー記事もあるんだから
>リンク貼っておいた方が見やすくなると思いますよ。
確かに!というわけで追加しといた。

>いつの間にかそんなに発売してたのね…w
>ブレイドは読むのが怖いなぁ…
>「自分を犠牲にして友達を助けて、さらに自分の運命も諦めない剣崎」
>って凄くハードルが高い人物だよね…w
色々とね!
小説はまあ俺の中では劇場版と同じでパラレルってことにしといた。
[ 2013/04/21 02:13 ] [ 編集 ]
ブレイドの後日談といえば脚本家の會川昇さんが書いた
「たそがれ」があったよね、アレはスゲー良かったよ
[ 2013/04/21 11:46 ] [ 編集 ]
俺もこの中じゃキバが一番楽しかったなぁ。
削るところを削って紅渡の成長譚として見事にまとまってた。
[ 2013/04/24 21:17 ] [ 編集 ]
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