テキストを読み進めていくシンプルなアドベンチャーゲームで全7話。フルボイス。
クリアまでは15時間程度かな。
オートプレイ、オートスキップ、シーンスキップ、クイックセーブにクイックロード。
バックログでのボイス再生もアリと基本的な機能は抑えてある。
シナリオは取材して情報集めて企画書にまとめ、最後に番組として放送という流れで、
情報をチェックする「マテリアルチェック」
番組の方針を決める「プランニングシステム」
資料を組み合わせて番組を作る「プログラムディレクション」
の3つのパートが存在している。
……とはいえ、マテリアルチェックは写真とか資料を見て
おかしいと思った場所を指摘するだけ。
関係ない場所を指摘した時に出るテキストみたいなものも少なく、
しかもミスすると総合評価が下がる。
総合評価はDランク取ると次のシナリオが解放されないくらいで、
全Sランク取っても特に何も無いので完全にトロフィー用。
プラニングシステムは各シナリオに1回だけ存在し、
2つの企画書のどちらかを選ぶとそれに沿ってシナリオが分岐するだけ。
プログラムディレクションに至っては、
タイミングよく4つの写真から正解を選んで番組を成立させるだけという眩暈がしそうなショボさ。
どれも目新しさも無ければ難易度も非常に低い。
つまりバッドエンドが複数ある最終シナリオを覗けば
各シナリオに選択肢は一つだけ、分岐ルートは2つだけってことだ。
システムよりもシナリオとキャラを楽しむ内容といって良いだろう。
シナリオは超常現象を取材するだけあって非常に胡散臭い内容。
UFOにアブダクトされた少女!人体発火!的中率100パーセントの未来予知!
超常現象事件の裏で暗躍する謎の黒服!ポルターガイスト!
かなりぶっ飛んだ展開が満載。ゾクッとするような演出も多いので
「えっ、どういうこと!?」「どうなるの?!」と続きが気になる気になる。
こういうノリが好きな俺はかなり楽しめた。
登場キャラもみんな魅力的でいいぜ。
こちらはメインヒロインの度会楓ちゃん。
宇宙人にアブダクトされたことがある女の子で、トクホウのアシスタントとして活躍することになる。
普段は感情をあまり表に出さないクールな態度を取っているが、
時折年相応の女の子らしいところを見せてくれてなかなかグッと来るし、
たまに飛び出す毒のあるツッコミでも笑わせてくれる。
個人的には4話でのビビリっぷりと、ノートのラクガキ&書き込みが可愛すぎてやられた。
めっちゃかわいいよ!
こちらはトクホウのディレクターである棚橋彩さん。
主人公を先輩としてグイグイ引っ張っていく姉御肌。
明るい性格で酒グセの悪さはひどいが決める時はビシッと決める行動力は満点。
この性格の彩さんがメインだからこそ3話は胸を打つ。
トクホウのプロデューサーである佐曽利昭雄。
飛騨山中に潜む謎の生物「ヒダゴーン」を追うことに情熱を燃やしている。
それヒバゴンのパクリだろって突っ込みはゲーム中でされてるのでみんなは突っ込まないように。
見た目通りの胡散臭い人でいい加減な性格だけど、プロデューサーやってるだけあって結構有能。
とにかく声やってる藤原啓治の演技が素晴らしいハイテンションで終始ノリノリ。
見た目も含めて、声優を先に決めてから作ったキャラじゃねーの?!ってくらいのマッチっぷりで、
その「タマゴが先か、藤原啓治が先か」っぷりには
アサルトガンナーズでの藤原啓治が物足りなかった俺も大満足。
「ヒダゴーン!」の発音だけでかなり面白いのがずるいと思う。
喋るだけで場の空気を一気に持っていくキャラの立ちっぷりが楽しすぎる。
大統領のボディーガードやっていたけど色々あってトクホウでADをやっている、
無口クールな実に分かりやすい強キャラの衛さん。
最初から最後までブレない強キャラっぷりに
主人公もプレイしてる俺もピンチの時は「「衛さん早く来てくれーーー!」」状態。
「衛さんが2時間でやってくれました」はさすがに吹いた。
彩さんと一緒にプロデューサーに振り回される苦労人っぷりは笑っていいやら同情していいやら。
経験豊富なクールイケメンキャラなのに、たまにどこまで本気かよく分からないことを言ったり、
妙にかわいいことを言ったりするあたりが実にあざとい!
トクホウのメンバーは4人とも実にいいキャラしてて4人とも好きだね。
主人公の柚原遼も分かりやすい「ヘタレ→成長して主人公らしく!」なキャラで、
いくらなんでも迂闊すぎだろ!って展開も多いけど
見せ場もあるし主人公としては王道で悪くない思う。声やってる前野智昭のヘタレ演技も見事。
こちらはアナウンサーとして登場するおっぱい担当の村瀬知華。
発売前はおっぱいのせいもあっていくらかビックアップされていたが、
部署が違ってて出番が少なく、楓ちゃんや彩さんに比べて陰が薄いこともあり、
ゲーム本編だとおっぱい以外はそんなに目立ってなかったり。
ちゃんと自分なりのポリシーを持って仕事してるとこは結構好きなんだけど……。
まあおっぱいの人ですね。
他にも怪しげな登場人物が次々に登場だ。
1話がUFOによるアブタクト、2話が人体発火、3話がエシュロン、4話がポルターガイストと、
1つの超常現象ネタで1つのシナリオとなっていて、
トクホウメンバーの楽しい掛け合いでテンポ良く進むので飽きさせない。
音楽も派手さは無いがレベルは高く、個人的にお気に入りは「Beyond tears」
サウンドテストがあるのがありがたい。
欠点はゲーム性の低さやテキストのボリュームだなあ。
最初に書いたが搭載されている3つのシステムがどれもおまけみたいな内容で、
ゲームとしてはほとんど一本道で読み進めるだけの内容になっている。
マテリアルチェックで正解以外を選んだときのテキストを増やすとか、
本筋と関係無いお遊びがもっとあれば印象は違ったんだが……。
超常現象メインのゲームだし専門用語も多いからTIPSとかの用語解説も欲しかったね。
最終シナリオが結構分かりにくいし、
そういうところに胡散臭い超常現象ネタを大量に詰めこんで欲しかったよ!
各シナリオの最後に見れるトクホウの放送も、
独立した番組というよりただのミニコーナーにしか見えないし
内容も深夜とはいえ色々ムリがあると思う。
立ち絵の差分が少ないところとか、
一枚絵は綺麗なんだけどたまに妙にクオリティの低い絵が混じってたりとか、
ここら辺はちょっと低予算臭を感じるな。20周年に間に合わせるために急いだのかも。
演出の一環として、
ゲーム画面には常にカメラ越しに見ているような走査線っぽいフィルタが掛かっている。
これがゲーム中、一枚絵が表示されるシーンも含めて
ずーっと表示されているのでちょっと鬱陶しい。
撮影してるシーン以外は表示させなくていいってこれ。
最初から最後までずっとフィルター掛かったままだから、
これだと主人公は朝起きてから寝るまで24時間ずっとカメラ構えてることになるぞ。
右上のバッテリー表示でどのくらいでそのシナリオが終わるか判断できたり、
主人公がカメラで録画するシーンになるとアイコン表示が変わったりするけど、
逆に言うとそのくらいしか生かされてないからON/OFFの切り替えは欲しかった。
変なフィルターかけたらVITAの有機ELの意味が無いじゃないですか!!!!!!
クリア後のギャラリーの一枚絵はフィルター無しで見れるのが救い。
最終シナリオ自体は綺麗にまとまってるが
各シナリオには後から考えて「結局あれはなんだったの?」って感じで
投げっぱなしにしてる伏線や強引な展開も少なくない。
ここら辺は超常現象を扱っているからある程度しょうがないかもしれないが……。
最終シナリオの展開で説明がつかなくはないし。
ゲーム性の低さや低予算っぽさは惜しかったが、
超常現象を扱った独自のノリやキャラは1作で終わらせるには勿体無い。
子供の頃にUFOや超常現象関係の特番を面白半分、ドキドキ半分で見ていた頃の気持ちを
久々に思い出させてくれたゲームだった。
定価で買うにはやや割高だし、内容も好みが分かれそうだけど、
ノリが気に入った人には遊んでもらいたいゲームだね。