絶対SIMPLE主義

攻撃の瞬間にタイミングよくボタンを押す事で、
攻撃力と攻撃スピードが格段に跳ね上がったCOOLコンボを繰り出せるのが最大の特徴。
ただ漠然とボタンを押してコンボを出しているだけだと時間が掛かるが、
COOLコンボを安定して出せるようになると世界が一変。
猛スピードでザコを処理できてボスもサクサクと倒せるようになるのだ。

敵を斬り続けていくと刀に血がついて切れ味が悪くなって攻撃力と攻撃スピードが落ちるので、
定期的に「リロード」という操作をして血を払わないといけない。
刀をブン！と振って血をバシャッ！と地面に落とす！
リロードはそのまま使うとスキが大きいが、コンボとコンボの間に挟むことでスキを小さくすることが出来る。

敵の血を浴びすぎると暴走状態に移行。
攻撃力が跳ね上がって敵の攻撃で仰け反らなくなり、
特殊な操作でしか倒せない敵も一撃で倒せるが、体力ゲージが常に減り続ける諸刃の剣。
過去作では特定のアイテムか特定のポイントでしか解除できなかった。

ボタン連打でコンボを出して敵をひたすら切りまくるだけのゲームと勘違いされやすいが
こういうリスクとリターンが絡むテクニカルなシステムを多く取り入れている点と、
COOLコンボによる圧倒的な爽快感が魅力のシリーズ。



この基礎部分はシリーズ一作目であるTHEお姉チャンバラでほぼ出来上がってるのがスゴい。
最初は非常にゲームテンポが悪く感じるが、
上達すれば上達するほど驚くほど軽快にゲームが進むようになるのだ。
まあそこにたどり着く前に辞めちゃう人も多いんだけども。



今回は前作であるお姉チャンバラZの直接の続編で、前作のエンディングからゲームがスタート。
前作からの新主人公であるカグラとサーヤ。初代からの主人公である彩と咲。
オープニングステージを除いて全ステージこの4人で進行していくぞ。
前作はDLC買わないと彩と咲が使えないとか大分ひどかったが今回は普通に使える！



左から新主人公のカグラとその妹のサーヤ、過去主人公の彩とその妹の咲ね。

カグラは公式PVで「ビッチな姉」とか呼ばれてたが、
別にゲーム中でビッチ描写があるわけじゃなくてただ露出度が高くてノリが軽いだけのキャラなので、
いわゆる書類上のビッチというヤツだな。

彩も最近は「クールでお姉さんな前作主人公」みたいなキャラで落ち着きつつあるが、
昔は「剣の扱いだけは誰にも負けないちょっと変わった女の子よ」
とか自己紹介してたのをお姉チャンバラファンは忘れてないぞ！
新作出る度にキャラ安定しないのが彩！みたいなところある。



ストーリーは前作のエンディングからの続きで4人が喧嘩してるところに新たな敵が乱入！
さらにそいつが原因で世界中でゾンビが大量発生！
メインキャラ4人で世界を回って全部やっつけるぞ！という流れだ。

画像右の人は過去作だとプレイアブルキャラだったのに前作で通信担当に降格させられた上に、
1人だけ会話デモで「ANNNA」とか誤字られてるアンナさんです。
別のシーンだと普通に「ANNA」なので完全にただの誤字！

今回は世界が舞台……とはいえ、基本的に数人のメインキャラしか喋らないし画面に映らないし、
細かい描写とかまったく無いから世界がどうこう言われてもまったくついていけないぜ！
中盤からの仮面ライダー鎧武じゃあるまいし！
お姉チャンバラXのOPだとニュース番組を見てゾンビ発生を知るムービーとかあったんだが……。

全16ステージをクリアしていく構成。
ほとんど一本道のステージを進んでいくと
オリに閉じ込められてザコ敵が湧き出してくるので全滅させると先に進める。
それを繰り返して最後まで進んでボスを倒せばクリア。

と、ここら辺はいつものお姉チャンバラと一緒ね。



しかし新システムの「チェイス」のおかげでスピード感は格段に向上。
ジャンプボタンを押し続けると正面orロックオンした敵に空中ダッシュで突っ込んでいくシステムで、
移動にも使えるしチェイスでゾンビを吹き飛ばしながらそのまま空中で連続攻撃！というのも可能。
ステージ中を高速で飛び回りながらゾンビをザクザクと斬りまくれるのが爽快！

また今回は4人のプレイヤーキャラを好きなタイミングでチェンジ可能。
コンボの最中だろうがチェイス中だろうがスムーズに交代が出来る。
1人が必殺技であるエクスタシーコンビネーションを出してる最中に別のキャラに交代すると、
片方が必殺技を出したまま別のキャラを動かせるのでそれを生かした立ち回りもアリだ。



また、控えのキャラクターのゲージがMAXになった状態でタッチパッドを押す事で、
控えのキャラクターが全員飛び出しての共闘が可能！通称、クロスマージコンビネーション！
こっちの動きについてくるので、敵にCOOLコンボを叩き込むと全員でCOOLコンボだ！

チェイスで飛び回り、4人いるキャラクターと交代しながら奮戦し、時には全員で一気に敵を殲滅する！
過去作に比べて格段にド派手になって実に爽快。
スムーズな4人交代はPS4ならではと言えなくもないかな。

前作はカグラとサーヤにヴァンプスキルという体力を消耗して放つ技があったが、
今回ではコンボで溜まるゲージで放つエクスタシーコンビネーションに統合されて、
ヴァンプスキルのレベルアップやカスタマイズも無しになっている。
その代わりエクスタシーコンビネーションがカグラ、サーヤ、彩、咲それぞれ3つずつになって、
使う時は方向キーで選択して好きなものを発動する形式になった。



PSP版くらいから敵がゾンビではなくモンスターっぽいのが中心になってきてそこはやや不満だったんだが、
今回はボスとして初代THEお姉チャンバラから登場してる杏＆さやかが久々に登場してるのが嬉しかった。
しかもHDクオリティでめっちゃ可愛くなってる！

ステージも半分くらいは過去作で見たようなマップだが、
ビーチや寺院や砂漠など新規ステージもそれなりにあるので良し。
キョンシーとか初登場の女ゾンビも良かった。いかにもB級ホラーっぽい。





お姉チャンバラといえばキャラのアクションとコンボの作りこみだがもちろんそこは健在。
各キャラにはそれぞれ2種類の武器と1種類のサブウェポンがあって、バトル中はいつでも活用可能だ。

彩なら日本刀と二刀流と投げナイフ！咲なら日本刀と格闘とカウンター！
サーヤならチェーンソーと格闘とモーニングスター！
カグラなら二刀流とワイヤー付きダガーとブーメラン！





ほとんどの攻撃方法にCOOLコンボが存在するのでお好きなバトルスタイルでゾンビのはらわたをぶちまけろ！
COOLコンボを叩き込めば敵はちゃんと真っ二つ！拳や足で敵を粉砕するのもよし！
サブウエポンもボタン溜めでナイフが分裂して敵を貫通して貫きまくる！
カグラならブーメランの乱れ投げで100コンボ、200コンボは一瞬！

弱攻撃と強攻撃にそれぞれ存在する多くのコンボやアクションの多彩さなど
ここら辺はさすがお姉チャンバラと言わざるを得ない。PSP版を除いて毎回作りこまれている部分だぜ。



さすがお姉チャンバラ！と言えば相変わらず高品質の音楽。
闘神伝やチョロQシリーズから続く栄光のタムソフト サウンドチームの仕事にハズレ無し！
特にキョンシーが襲い掛かる中国ステージは雰囲気もバツグンだが、
BGMがギターバリバリでお姉チャンバラっぽさがあり、アジアンテイストもあるという見事な一曲。
メインテーマである「ICHIBAN WA ME」もいいぜ。サウンドテストあるのが実にありがたい。

大乱闘スマッシュブラザーズで作曲陣もオールスター！とか言って毎回豪華な面子集めてるけど
なんでそこにタムソフトの和田真奈美を呼ばないのか俺は毎回すげぇ不満ですよ！
面子的には文句なしだろ！地球防衛軍のBGMやってる高田雅史はいるのに！
和田真奈美にゼルダの伝説や謎の村雨城のBGMの編曲やらせろや！



本作でもコーディネートでキャラの服装を自由に変更可能だ。
服装は変えられるし、最大10個までアクセサリーも付けられる。
アクセサリーは付ける部位、座標、大きさを変更出来るので、自由度はかなり高い。



乳からツノを生やしてみるとか。



スパイクブレスレットを最大サイズにして体につけてタイヤコウカーン！とか。



眼帯が欲しかったけど眼帯のパーツが無いので、
代わりに食パンを片目に貼り付けてみたりとか。



初回特典の乳首をイチゴで、股間をバナナで隠したコスチュームが下品すぎるので、
代わりに食パンで隠してみるとか。



食パン人間を作ってみたりとか。



4人にメガネをかけさせるとかも可能です。
ベヨネッタだかなんだか知らねぇがメガネの数なら負けてねーぞ！



新規プレイヤーは「続編モノのZ2から遊ぶと話がよく分からないのでは？」と心配するかもしれないが、
オープニングで前作までのあらすじを流してくれるし、
お姉チャンバラシリーズは会話デモが少ない上に設定をセリフで垂れ流しながら駆け足で終わるだけの
どうしようもないシナリオなのがお約束なので安心して無視してプレイしてもらいたい。
今回も盛り上がりゼロでひどかった。

そもそもシリーズ一作目から追ってるプレイヤーもストーリーよく分かってないからな！
いや、むしろシリーズ一作目から追ってるからこそよく分からないのか……？

カグラとサーヤが吸血族で、彩と咲は忌血族。
2つの種族は対立して……なんて話が最初に語られるが、
これもシリーズ9作目である前作でいきなり出てきた設定なんで！







ただ、今回はステージ中にキャラ同士のちょっとした雑談が挟まったり、
各ステージの冒頭にギャグっぽいデモが始まったりするのでそこは素晴らしく良かった。
これまでこういうキャラを掘り下げる演出がまったく無かったから。
マジでこういうの全然無かったから……ホント良かった……。



そんなわけで色々とパワーアップはしているが、難点はやはりボリューム。
チュートリアルステージやボスとタイマンして終わりのステージも含めて16ステージなので、
クリアするだけなら6時間程度。
難易度はカジュアル、ミディアム、ハード、バイオレント、バーサーカーと5段階あるので
全部やればそれなりに掛かるが、
どうも難易度上げてもそこまで手応えが変わる感じがしないので物足りなさある。
最後の難易度であるバーサーカーは常に暴走状態だから
実は一番カンタンなボーナスステージみたいなものね。

特殊な条件下でプレイするミッションモードと、
ゲームすべてを通して特定の条件を満たすたびにアンロックされるクエストはあるんだが、
ミッションモードは縛りプレイなのが多くてそんなに面白くない。

本編ステージとミッションモードにはクリア時にプレイ評価がつくんだが
コンボ数さえ稼げばいくらでも高ランクになる上に、
カグラのダガーでのコンボか彩のエクスタシーコンビネーション3つ目を使えば
999ヒットを簡単で叩き出せるので、高ランク狙いだとそれを出し続けるだけの作業になる。

しかも本作、PS4なのにロード時間がかなり長い。
10秒以上かかるロードが頻繁に挟まるし、リトライの時にも同じ時間かかる。
何回もやり直したいミッションモードですらこの仕様なので実にイライラする。

また、COOLコンボで敵を真っ二つにするとカメラがアップ＆スローになる演出が余計。
キャラの声とタイミングに合わせてボタンを押して発動するCOOLコンボなのに、
タイミング狂わせるような演出を入れてどうする！
こんな余計なだけの演出は当然オプションでOFFに出来るだろうと思ったらまさかの不可能。

個人的にイチバン不満だったのがゾンビの数。
せっかくのPS4だってのに360版とあんまり変わらない！
ここ一番期待してたのに残念過ぎる。



プラクティスモードではゾンビ100体出せるのでここで気を紛らわせる。
常にこのくらい敵が湧き出すサバイバルモードとかあったら本作の評価は全然違ってたと思うね……。



グラフィックも過去作から格段に綺麗になった感じがしないし、モデリングも粗い。
特に500円払って買った有料DLCのバニーコスチュームの網タイツのローポリっぷりにはガッカリですよ！

アクセサリーやコスチュームが安っぽいエロとイロモノばかりなのもどうもなあ。
もっと普通にカッコいいのが欲しかった。
有料DLC出すならもっとまともなの売ってくださいよ初代のコスとか。

最初にお姉チャンバラはリスクとリターンの絡むシステムを多く取り入れていると書いたが、
今回はチェイス中にリロードボタンを適当に押すだけでスキ無しで血を払えるし、
そもそも多段ヒットしまくるサーヤのチェーンソー以外だとほとんど血がつかない。

体力の減少と引き換えに攻撃力をアップさせる暴走がデアドライブ＆忘我に変更され、
変身方法も「血を浴びると溜まるゲージが最大になると強制で変身」から、
「血を浴びると溜まるゲージが最大の時にR3とL3ボタンを押すと変身」に変わったため
ただの便利なパワーアップになってる。

初心者向けでこうしてるのかもしれないが、
初心者向けにしたいんだったらまずCOOLコンボの重要性をしっかりゲーム内で説明するとか
COOLコンボの練習がプラクティスモードで出来ることをもっとハッキリさせるとか、
全体的に説明不足な点をどうにかするとか、
進む道や斬り残した敵が微妙に分かりにくいステージとか、
そういうとこから改善してもらいたい。
単にシステム難易度を下げて放り投げるだけじゃしょうがない。
つーか昔はマップとミニマップあったのになんで前作から無くしたんだ！

チェイスで適当にザクザク切ってるだけだと時間が掛かるので
最終的には地上でのCOOLコンボの上達がキモになってくるのはいつも通りなんだけど、
そこをもっと推してもらわないと。
チェイス前提でやたらめったら動き回るボスが増えたのは逆にストレス。



デアドライブと忘我のデザインのお姉チャンバラのノリや世界観とまったく合ってない
ダサひどカッコ悪さにはもう怒りつかれたので何も言わないよ次で変えて……。



それなりに新要素も多いしパワーアップしてる部分も多いんだが、
PS4で動くようにしたところで力尽きた感は否めない。
新システムのチェイスや4人乱戦は悪くないのに、
バランスやシステム調整で全体的に大味になって緊張感が薄れてしまってて色々と勿体無い。

Wii初のお姉チャンバラだったお姉チャンバラRの製作期間が半年という
正気とは思えない事実が昔あったので、今回も製作期間かなり短かったんだろうな……。
Z2は新しい敵やステージがそれなりにあるからさすがに半年ってことは無いだろうが。
っていうか、お姉チャンバラは毎回「スケジュールと予算かけなかったのかな？」って内容なんですけども！

アクションと爽快感はすごくいいけど作りが雑でボリュームもあんまり無い。
と考えるといつものお姉チャンバラかなあ。
PS4ならではのお姉チャンバラをもっと見せて欲しかった。
アクションとコンボの楽しさはやはり素晴らしいので、
未プレイの人はこの機会に是非やってもらいたいんだがオススメし辛いぜ……！