絶対SIMPLE主義

6つの極道がシノギを削りあっているとある地方都市の繁華街が舞台。
主人公の飛鳥侠はうだつの上がらない生活をしていた一般市民。
ある日、女の子を助けるためにチンピラと喧嘩を繰り広げる姿を
魚頭組の紅蓮　仁に見込まれ、極道の道を歩むことになる。
ストーリーはこの2人を中心に進む。



こちらはヒロインの杏奈ちゃんだ。



すげぇ見覚えのあるシャツ着てる……！スプラッター！



グラフィックは3Dだがゲーム性は2Dのステージクリア型ベルトアクションゲーム。
ステージとステージの間には自由に街を歩いて髪型や衣装や服を買うことが出来るシステム。
金は敵を殴り倒して手に入れる。
龍が如くじゃなくてダウンタウン熱血物語的な構成です。

敵を倒してレベルアップするような成長要素は一切なく、
装備の組み合わせによってステータスや使える技などが変化する作りだ。
髪型はパンチパーマやスキンヘッド。
衣装はふんどしにサラシ、スーツ、上半身裸で背中に刺青。
武器は銃に日本刀にドスなどなど。
いかにも任侠モノっぽいものからバカっぽいものまで充実しているし、
見た目を変えるとイベントデモにもしっかり反映される。





ストーリーはシリアスなのに雰囲気ぶち壊しである。



芸人かな？



街の雰囲気もいい感じ。
しかしアクションゲームとしては任侠道の厳しさを叩き込まれる作りになっているぜ。



攻撃は□ボタンでのパンチコンボが基本。
敵を攻撃してゲージを溜めて△ボタンで必殺技の威嚇だ。
敵を全員倒したり、体力を回復させたりが可能。

オーソドックスなアクションゲームだが、
とにかく主人公の性能が低くて動きももっさりしているのに、
敵は素早いキック攻撃や画面外からの銃撃などで攻撃してくるので本当につらい。
主人公より機動性の高いザコが複数で襲い掛かってくる場面が多いので、
終始苦しい展開を強いられるゲームだ。

吹っ飛ばされる→もっさりと起き上がる→その間に敵に囲まれて起き上がった瞬間タコ殴り

このコンボが極悪！

ガードや回転蹴り、緊急回避など、
普通のアクションゲームならばあって当然のシステムすら装備に依存しているので、
どうしても装備が縛られてしまうし、全体的にスキが大きくて使いづらい。
装備品も説明が曖昧でどういう効果があるのか分かりにくい。
倒れた相手へのダウン攻撃が無いのも辛いぜ。

更に問題になってくるのが「男気システム」。
隠しステータスである男気が高いとストーリーが分岐するというものなんだが、
武器を持っていない敵を武器で攻撃すると下がるとか、
ダメージを受けまくると下がるとかでとにかく判定が厳しい。
序盤からくにおくん感覚で武器を使いまくるとバッドエンドルート直行である。

武器も銃などの遠距離攻撃は強いんだけど近接武器はすべてゴミ。
ドスや日本刀より敵の小パンチの方が出が早いので使うと確実にぶっ飛ばされる。



終盤のステージは立ち止まっていると画面手前から矢で狙撃されたり、
四方に銃を発射する謎の砲台が出てきたり、
近づくといきなり崩れてダメージを与えてくる灯篭が沢山出来たり、
銃を持った敵が複数登場したりと地獄！

そんな状況でも男気ゲージに気を配らないと最高のエンディングは見れないぞ！
いい加減にしろやコラァ！



ストーリーもほとんどダイジェストレベルの早さで、
ポンポン話が進んでいつの間にか組長にのし上ってるので盛り上がらない。

男気での縛りが無く、自由にキャラクターも選んで二人プレイも可能な二人仁義モードというのがあって、
そっちはまだ多少楽しめなくも無いんだけど、本編をやりこまないとキャラが全然増えないからね……。



ただでさえ主人公の性能が低いのに、
更にシナリオ分岐やシステム、敵配置などでガチガチにプレイヤーを縛り、
最初から最後までとにかく忍耐を要求してくる。
悪い意味で昔の理不尽なアーケードゲームっぽい作り。
もはやTHE任侠ではなくTHE忍耐。

グラフィックや着せ替え要素、BGMなど良い点もあるが、完全にバランス調節で失敗してる1本だ。
任侠モノとSIMPLEシリーズの相性は結構いいと思うのに残念な内容。
やっぱりヤクザなんかになるもんじゃないな！

最初にヒーローかヒロインかを選択するところからスタート。
ヒーローにすると宇宙刑事や戦隊風のデザインが選択可能。
何故か生身のお爺さんの顔パーツなんかもあったりする。
ヒロインだとサイボーグ風のものから魔法少女っぽいデザインまで色々。

その後はキャラのデザイン、番組名、名前を決める。
名前はカタカナで自由に入力可能だが、番組名は用意された単語を組み合わせて作成する。
自由に入力できるのもいいけど、これはこれで作りやすいから好きですね。



しかしなんか変な単語ばかりのような……。
「仮面」とか「黄金」とか「特捜」とかあるのはイイ。「ライダー」は無い。

「世紀末」「救世主」の2語があって、
説明書の写真に載ってるヒーローがそれを使った「世紀末 救世主 モイッチョン」なのは突っ込みたい。

キャラのデザインに使えるパーツはゲームを進めると増えていつでも変更できるが、
性別と番組名と名前は一度決めると変更不可能。不便ね。



入力が完了するとこのように特撮番組風のアイキャッチが作成される。
これはゲーム中にもたびたび挟まるぞ。なかなかテンション上がる。



買い物に行こうと街まで出かけたら、家に制御棒を忘れて炉心溶融。
愉快なヒロコさん。



ヒーローモノじゃなくて昭和の広告みたいになった。



中盤で実は自分が両生類だった事を知って苦悩するけど
それを乗り越えて最強フォームのコモドオオトカゲに変身する。



ちなみに発売当時に俺がエディットした名前がこれ。
宇宙から飛来した意思を持った金属が、ヒーローの姿になって悪と戦うという脳内設定だった。



ストーリーは悪の秘密結社「メメデス団」の怪人によって殺された主人公が、
謎の科学者によって救われてヒーローorヒロインになる……というベタベタなもの。
ステージクリア型のアクションゲームで分岐などは無い。





ステージの間に見た目や必殺技やポーズ、持って行く武器のエディットも可能だ。
使える技を組み合わせて自由にコンボを作れたりもできてなかなか細かいぜ。





戦闘はパンチ、キック、投げ、武器を駆使してバトル。
最初は人間の姿で始まるが、好きなタイミングで変身可能という分かってる作り。
変身すると体力が全回復するので人間態で粘るのも悪くない。



戦闘に至るまでのストーリーはほぼすべてテロップで済まされる省エネ仕様。
一応、ナレーションがそれっぽい声で読み上げてくれるのはイイ。
でもストーリー適当すぎるだろこれ！







敵怪人のゆるい造形や、次回予告のシルエットなんかは雰囲気出ているかな。
怪人がつけてる共通のベルトがモロにショッカーの怪人と同じだこれ！





本作を語る上で外せないのは2話に登場するナメクジ怪人のナメデスガー。
「ナメーン！」という鳴き声と共に襲い掛かってくるオカマの怪人で、
D3に気に入られたのか別のゲームに参戦したり、
THEミニ美女警官で声が再生されるシーンがあったり、
何故か開発元が違うお姉チャンバラ公式ブログのコメント欄に出没したり。

イロモノ的な人気が高いような、別にそうでもないような怪人である。
まあ、キャラ立ってるからなあ。嫌いじゃないわ！



システムやノリだけなら面白そうなゲームに見えるんだがこれがかなり辛い。
全12ステージは基本的に戦闘員を2～30人ほど倒す→ボスを倒すの繰り返し。
戦闘員は最初から最後まで弱いのにやたらめったら硬くて時間ばかり無駄にかかり、
その後に出てくるボスは更に硬い上に、攻撃の当たり判定がおかしくて理不尽にボコられること多し。

決めポーズ中にボタン入力で繰り出せる必殺技は使うと体力が減る上に、
敵に与えるダメージより自分の体力が減る分の方が多いという使えなさ。
武器は回数制限のある剣と、時間経過で弾が補充される銃の2種類あるので、
これでハメるのが安定だ。ダメージは雀の涙なのでめっちゃ時間掛かるぞ！
というか、終盤のボス戦はハメ技無しで勝てるように出来ているのかこれ？！

とにかくバカみたいに敵が硬くて純粋に戦ってて楽しくないのが辛いね……。
最初こそ、投げで戦闘員を別の戦闘員にぶつけたり、
ボスのトドメを決めポーズからの必殺技でキメたりするのがちょっと楽しいんだけど、
狭いフィールド内で硬い敵を同じ技で倒し続けるだけという爽快感の無さですぐゲンナリする。
ゲームオーバーになるとタイトル画面に直行。コンティニューやリトライは無い。
ロード時間がいちいち長いのもストレス。

ステージ中に特定の条件を満たすことで必殺技やパーツが増えていく仕様だが、
「クリアタイムがゾロ目の時にクリア」「一歩も動かずにクリア」「必殺技を3回使って敵に当てない」
みたいな理不尽な条件が何十個もあって、しかも出てくるのも色違いや見た目違いの水増しパーツだらけ。

全然パーツが増えないし、苦労して条件満たしても水増しパーツばかりだしでやる気が消滅する。
必殺技にライダーキックもどきや
ギャバンダイナミックもどきがあったりするのはとても良いんだけども。

言うまでもないがグラフィックがSIMPLEシリーズの基準で考えてもかなりショボい。
特に変身シーンや敵が死ぬ時の爆発がショボいのが残念過ぎる。そこは頑張ってくれないと！



このゲーム、隠しパーツで某ヒーローの……。



某！某ヒーローのパーツが！存在するんだけど、
条件が全難易度でゲームクリアという地獄そのもの。
この条件を満たせた人間こそ、真のヒーローなのかもしれない。



ストーリーは狙ってバカっぽくしてるんだろうけど
さすがに展開がゆるすぎて「バカ」ではなく「ふざけているだけ」になっているような。
特にエンディング。
「博士の息子！？ライバルキャラのヤバイダー登場！」とかやったと思ったら、
それっきりヤバイダーの出番が無くて、やっと出たと思ったら死んだりとやっつけ感ある。

まあ、ゲーム部分がもうちょっと遊べるデキだったら面白く感じる余裕はあったと思う。
合体怪人が街を混乱させるくだりはバカバカしくて笑ったし。



そんなゲームで最後の最後にこんなメッセージが出るのには怒髪天ですよ。
ざっけんな！何が次回作だコラァ！ケンカ売ってんのか！

ちなみに次回作などは発売されませんでした。
ざっけんな！買うからちゃんと出せやコラァ！



本作の長所としてはOPとEDで流れるボーカル曲。
詩・曲・唄を当時のD3パブリッシャーのえらい人である北本幸寛。
編曲を双葉理保の楽曲全般を手掛けていて
デスクリムゾン2のヒロインの声でもお馴染みのmomoさんが担当。

これがどちらも素晴らしいテーマソングになっていて、
低予算でも頑張って戦うヒーローの悲哀を勇ましく見事に歌い上げている。
SIMPLEシリーズのボーカル曲の中でも屈指の名曲の一つだぜ。

バトル中の効果音も結構好きだな。
敵を殴ったときの音が「打撃音」じゃなくて「衝突音」に近いのが初代仮面ライダーっぽい。
ヒーロー主人公の、もう本当に「いかにも」な演技もお気に入り。



B級特撮パロゲーを狙った作りだが、さすがにチープさにも限度ってもんがあるわ！
発売当時よりも俺が10倍くらい特撮好きになっているので多少は見直した部分もあるんだけど、
薄っぺらな内容を誤魔化ために水をドバドバ入れてる作りがやはりキツい。
悪の組織が作ったソフトなのかと思うようなゲームバランス。
絶対に許さねぇぞユグドラシル！

アクションゲームとして爽快感がまったく無いのが致命的。
カスタマイズがウリなのにパーツが気の狂った条件ばかりで全然集まらないのが更に致命的。
しかも水増しパーツばかりなのが致命的。ボス戦がかなり理不尽なのも致命的。
思わずゲームなんかやめてパリに豆腐を買いに行きたくなるようなデキ。

システム面は結構ツボを抑えた作りではあるので、
せめてパーツが集まりやすくて敵が豆腐くらい柔らかければ、
エディットやなりきりプレイを楽しむ感じで遊べたと思うんだがなあ。
ゲームとしては下の下……ですね。勿体無かった。