インク研究所のINKORP社で清掃員として働いていた主人公が、
偶然にも恐ろしい人体実験を目撃してしまうところからゲームはスタート。
明日は我が身。下っ端の清掃員にだって人権はある!こんな悪の秘密基地にはいられない!
というわけでインクを使って脱出を目指すというストーリーだ。
殺人トラップ溢れるステージを駆け抜け、ゴールまでたどり着けばクリア。
全22ステージの横スクロールアクションゲーム。
赤い「ネバネバインク」、黄色い「バウンドインク」、「水」の3つを使い分けるシステムが最大の特徴。
ボタンでインクや水を切り替えながらバババッと発射して進んでいくのだ。
「ネバネバインク」は塗った場所にくっ付けるようになるインクで、
壁や天井に塗ればそこを歩くことが出来るし、敵に向かって撃てばネバネバで動きを止められる。
強風が吹き荒れる場所では地面に塗ってふんばるような使い方も可能だ。
壁や敵に粘着しようぜ!
「バウンドインク」は塗った場所がジャンプ台のようになるインクで、
通常ジャンプでは飛び越えられないような大穴もひとっ飛びだ。
走りながら足元に撃てばダッシュの勢いをつけたままジャンプできるし、
狭い場所ではピンボールのように跳ね回るような動きも出来る。
敵に使えばそのまま吹っ飛ばせるぞ。
「水」は一度塗ったインクを洗い流すことが出来るし、敵を撃てばそのまま倒せる。
「ネバネバインク」「バウンドインク」を発射して妨害してくる敵がいるし、
最初からインクが塗られている地形もあるので対抗策として使う場所は多い。
過去は洗い流せないことが多いが、インクならサッと水に流せるので有効活用しよう。
この3つを使ったアクションが単純ながら自由度が高く、
使いこなせれば忍者のようなアクロバティックな動きでステージを駆け抜けることが出来るぜ。
熟練した清掃員にとっては壁も床も天井も同じなのだ……!
アクションゲームとしては、
一撃死で難しいけどチェックポイントから何回でも再開できる死にゲータイプになっている。
が、チェックポイントの多すぎず少なぎずの置き方が絶妙なので、
繰り返しリトライしつつも程良く緊張感を保てるし、
こういうところ含めてステージ構成が非常に上手い作り。
殺人ビームや動く足場などのギミックは、
色や音で攻撃範囲やタイミングが分かるようになっているから、
「難しい!」となっても「理不尽だ!」となることは少ない。
プレイヤーの流した涙が地面に落ちるより先に、
死んだ主人公の血液が地面にまき散らされる方が早い難しさだが、
それでもインクまみれになりつつ何度も遊びたくなるバランスだ。
ステージ内に7人いる仲間を助けるやり込み要素もあるが、
わざとか!ってくらい危ない場所でこちらの助けを待っているので
コンプを目指すと難易度が跳ね上がるぞ。思わず「カモン!」を連打したくなる。
まあ、コイツらも作業員だし、わざとではなくそういう仕事なのかもしれない……。
インクを当てるとうっかり殺しちゃうこともあるから注意。
救助の他にも、一度クリアするとタイムアタックモードもアンロックされるのでかなり遊べる内容だ。
飛び交うビームをギリギリですり抜け、壁に張り付き、噴き出した水を足場にし、
空中で敵を倒しながら地面に着地する!
基本アクションと地形とギミックが一体となった手応えがとにかく遊んでいて楽しい。
巨大ボス戦もあるし、ステージ内のワープゾーンから仲間が捕まっている部屋に行くと、
固定画面でザコ敵を全滅させるミッションや、画面内のすべての仕掛けを動かすミッションが始まったりする。
飽きさせない工夫が見えるね。
死ぬ!と思わせてギリギリのところで足場が出現して着地できるとか、
先へ進むための足場を起動するとその勢いで周りのザコ敵が全滅するとか、
仕掛けを解いた瞬間に周りの落とし穴が全部塞がってザコ敵も全部死ぬとか
遊んでいて気持ち良い仕掛けを散りばめてあるのも好きなところだ。
気になったのは敵のバリエーションが少ないのと
グラフィックが地味なところくらい……と言いたいんだが、
ド終盤で高確率でフリーズするという致命的な欠点が!
俺の場合、クリアした瞬間にフリーズしてやり直しが2回。
その後、フリーズしないと思ったら今度はエンディングの最中に1回発生して地獄を見たぜ……。
エンディングの最中だとセーブされるからやり直さなくて済んだが、
最終ステージは凄まじく難しいので辛い。
俺が遊んだSwitch版だけでなく、PS4版でも発生した報告があるので逃げ場無しだッ!
ここはイカんともし難い欠点!
最初にPVを見た時は「よくある死にゲーかな?」という印象でピンと来なかったんだが、
やってみると手触りで丁寧な調整が伝わってくる良質なアクションゲームだったぜ。
フリーズだけが本当に勿体なかったわ……。