
大分遅くなってしまったが超クソゲー3読了したので感想をば。
その前にネット上に収録タイトルのリストが無かったのでここに全部書いておこう。
PS2版仮面ライダーカブトがあったとか、
バットマンアーカムアサイラムがあったとか単体で抜き出すと
逆に誤解を招きそうなんでね。
・PSP
北斗の拳ラオウ外伝 天の覇王
DRAGONBALL EVOLUTION
ティル・ナ・ノーグ~悠久の仁~
ガンダムアサルトサヴァイブ
ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123
喧嘩番長3~全国制覇~
メタルギアソリッドピースウォーカー
(PW)プロジェクトウィッチ
どきどきすいこでん
仮面のメイドガイ ボヨヨンバトルロワイヤル
フェイト/タイガーころしあむアッパー
機動戦士ガンダム ガンダムvsガンダムNEXT PLUS
勇者30
・ニンテンドーDS
ONI零 戦国乱世百花繚乱
うる星やつらエンドレスサマー
逆境無頼カイジ Death of Survival
ザ・シムズ2 ペットワンニャンライフ
怪獣バスターズ
デルトラクエスト7つの宝石
Yesプリキュア5GOGO!全員しゅーGO!ドリームフェスティバル
キモかわE!
対戦!!加トちゃんのころろんぺ!
ダンジョンオブウインダリア
BLEACH DS 蒼天に駆ける運命
・PS2&PS3
SIMPLE2000THE落武者
新世紀エヴァンゲリオンバトルオーケストラ
四八(仮)
SIMPLE2000男のためのバイブルTHE友情アドベンチャー~炎多留・魂~
SIMPLE2000THEカンフー
高速機動隊
大奥記
SIMPLE2000THE男たちの機銃砲座
ドラッグオンドラグーン
のだめカンタービレ
仮面ライダーカブト
超次元ゲイムネプテューヌ
・XBOX&XBOX360
格闘超人
EAT LEAD~マット・ハザードの逆襲~
Michael Jackson The Experience
You're in the Movies:めざせ! ムービースター
ガンダムオペレーショントロイ
MassEffct
LIMBO
アサシンクリード
バットマンアーカム・アサイラム
レッドファクション:ゲリラ
・Wii
ベビーシッターママ
盆栽バーバー
プロゴルファー猿
斬撃のレギンレイヴ
安藤ケンサク
・特集記事
伝説の活字系ゲーム雑誌「ゲーム批評」は何に敗れたか
XBOX最後の奇蹟「メタルウルフカオス」
そして僕はキャピタル・ウェイストランドで途方に暮れる
「涼宮ハルヒの激動」に日本一素晴らしい「祈祷」を捧げる男
クソゲーハンター、秋葉原へ再び!と、こんな感じ。
書籍の超クソゲーは単純につまらないゲームを扱うのではなく、
「常識の枠に収まらない飛びぬけた何かを秘めたゲーム」
の総称として「超クソゲー」という言葉を使い、
超つまらないゲームから超バカなゲームまで、
とにかく超が付くほど突き抜けたゲームを紹介する本。
そういうわけで、前作まではクソゲー+良バカゲーって構成に近かったんだが、
今回は普通の良ゲーを普通に紹介する記事が多くなってて、
前作以上にコンセプトがよく分かんなくなっちゃってるかなあ。
ムリにバカゲー・クソゲーとして紹介しているわけじゃなくて、
ちゃんとした紹介記事にはなってはいるんだけど、
悪い意味でなんでもありになってるというか。
書いてるほうも何が超クソゲーなの分からなくなってるような気がした。
あと何度も書いてるけどメタルウルフカオスが表紙ってのはやっぱ凄く抵抗ある。
超クソゲー1+2のいっきおんらいんは
本自体が過去の再編集ということを踏まえても合ってるんだけど大統領はなあ。
この本は単純につまらないゲームを特集する本ではない、
という前提を踏まえてもやっぱ俺はダメだわ。
純粋にゲームを紹介する本としては読み応えがあって面白かった。
SIMPLEシリーズの記事は無難な内容だったけど
THEカンフーの記事は非常に愛に溢れた内容になっている。
記事で個人的にお気に入りは「You're in the Movies:めざせ! ムービースター」
付属のカメラを使って映画の役者になりきれるというゲームで、
「タイトルは聞いたことあったなー」くらいだったんだけど
めっちゃ面白そうじゃないですかこれ!
「へー、なんだか妙なゲームだなあ」
↓
「ええっ?!そうやって使われるのか!」
↓
「うわこのゲームすげぇ!」と、記事を読み進める度にいちいち驚かされた。
映画の撮影ということでプレイヤーはミニゲーム的な動きをさせられて、
最後に出てくる完成した映像を見るまで
どの動きがどういうシーンで使われるかまったく分からない。
最後に流れる完成したムービーで、
初めて「あの動きがこの映像になるのか!」と分かる。
そこら辺の驚きや、自分の姿がそのまま役者として映画に登場する感動が
「あえて新婦役を選んでみる」などのネタを散りばめつつ
実に面白くまとめられていてゲームが遊びたくなった。
安藤ケンサクの記事も紹介記事としても読み物としてもハイレベル。
「地獄の獣vs嘆きの獣」辺りのくだりで大爆笑させつつ、
検索数で勝敗を決める着眼点の面白さと各種モードがしっかり紹介されてる。
2ページだけど喧嘩番長3の記事もうまくまとまっていて、
ネタ要素を紹介しすつ最後に「ビデオゲームって素敵」に落ち着くのがいい。
ネタ要素の多いゲームを記事にする場合、
「どのネタを切り出すか」というのが非常に重要になるんだけど、
これらの記事はネタの切り出し方もまとめ方もうまい。
他にも、最初に数種類いる中から
両親を2種類選んでその中間種のペットを飼うことになり、
テクスチャーも両親のものが混ざった実際にあり得ないものになるという説明で
かなり遊びたくなったザ・シムズ2 ペットワンニャンライフの記事。
書き手の「優しさ」が伝わってくる盆栽バーバーとベビーシッターママの記事。
ありのまま今起こったことを話すぜ!
俺はガンダムのゲームの記事を読んでいたのに、
いつのまにかガチャフォースの紹介記事を読んでいた!
……な内容の機動戦士ガンダム ガンダムvsガンダムNEXT PLUSの記事。
続編ではなく、バランスブレイカーな組み合わせがwifi対戦で横行した初代を取り上げ
当時のwifi対戦の荒れっぷりを記述しつつ、
だからこその高い自由度を評価し、対戦ゲームのバランスについて言及した
BLEACH DS 蒼天に駆ける運命の記事。
他のハードで発売されたものとは違って画面にプレイヤー自身が表示され、
決めポーズの瞬間だけその姿がマイケルになるという距離感の絶妙さに着目した
360版Michael Jackson The Experienceの記事。
「ゲームの中でのコロシは違法どころか、極上のおもてなしなんですね」
の一文が光るLIMBOの記事なんかが面白かった。
どきどきすいこでんの記事も、
美少女を着せ替えさせ放題のコスプレゲーのつもりでスタートしたら、
いつの間にかひたすらに力を求めて相手生徒を一撃で殴り殺し、
手に入った大量の使用済みソックスを売りさばいて
アイテムを買い占める日々にシフトしていく様が笑えた。あるある。
ただ、最後のくだりは同意できないかな。
「108人のキャラが登場の恋愛シミュレーション!」
という既存のギャルゲーを豪快に皮肉ったエイプリルフールネタが発端で
ぶっとんだ架空のキャラやぶっとんだ架空のシステムが好評で
グッズが発売されたりと長く愛されてきた架空のゲームが、
実際に発売されたら
エイプリルフールネタの設定などは影も形も無く攻略キャラは8人だけ。
システムやバランスやシナリオなどの節々から
低予算&カツカツのスケジュールだったことがビシバシ伝わってくる
作りこみ不足の平凡なギャルゲーに落ち着いていたとか、
とても夢の無い悲しい話じゃないか……。
基本的にネットであんまり話題になってないゲームの記事の方が圧倒的に面白いね。
対戦!!加トちゃんのころろんぺ!が
PSPでも発売されたパズルゲーム「ころん」のアレンジ作品とか
俺この本読まなかったら死ぬまで知らなかったと思う。
逆にブロッククラッシュ123、四八(仮)、大奥紀など。
クソゲーオブザイヤーで紹介されたゲームの記事は全体的にイマイチ。
ここら辺は話題になったから入れたという感じで文章もノってない印象。
大奥なんか序盤のシナリオを軽く紹介してる程度だ。
特に「ハローキティといっしょ!ブロッククラッシュ123」
のレビューに関しては大分納得がいかないぜ。
このタイトルは個人的に非常に思い入れが強いのでどうしても厳しくなってしまう。
>ブロック崩し系のゲームでは、
>地味になりやすい展開に変化をつけるアイテムは定番。
>プレイを不利にするマイナス効果のはあり得ない
>――そんな甘い認識が、このゲームで改められました。とあるが、ブロックくずしでマイナスアイテムは珍しくないのでこの記述はおかしい。
ブロッククラッシュに登場するマイナスアイテムは
パドルスピードダウンとボールスピードアップとパドルが短くなるものの3つ。
どれもマイナスアイテムとしてはポピュラーなもの。
確かにブロッククラッシュは挙動がおかしいので
このマイナスアイテムを取ったらほぼ即死。
通常のブロックくずしよりもマイナスアイテムのペナルティが非常に高くはなっているが、
記事ではマイナスアイテムが存在すること自体がおかしいような書き方なので
ここはかなり違和感がある。
本文ではなく横の画面写真に付けられたキャプションの話だが、
一花麗流ステージの説明で
「つぼみに2回当てると元に戻る無限ループ」と明らかなミス。
水無瀬シズクの矢印ブロックと混同していると思われる。
実際はつぼみに2回当てても元には戻らない。
ていうか全部のつぼみにボール当てないといけない一花麗流ステージで
その仕様だったらクリアできねーから!

クリアできねーからそれ!
ブロッククラッシュは色々と理不尽だから投げ出したくなるのに、
「セーブが1ステージごと&リトライが容易でロード時間なし」
という快適なインターフェースのせいで、
ついもう一回もう一回と地獄から抜け出せなくなってしまう。
この
「地獄への道は善意で舗装されている」的な
快適インターフェースも本作の大きな特徴のひとつなので、
そこにまったく触れられていなかったのは大分残念。
ここはこのゲームを語る上で絶対外しちゃいけないポイントだと思う。
貫通アイテムが出てくるまでの運ゲーと呼ばれていることにも触れていたが、
ブロッククラッシュ123は貫通アイテムが通用しないステージに当たってからが
本番なのでそこをもっと強調して欲しかった。
一握りの希望さえも通じなくなってからが本当の戦い。
4ページという制約で全キャラの紹介入れたせいもあるんだろうけど、
詰め込みすぎで散漫になってしまってる印象。かなり残念だった。
四八(仮)のレビューは冒頭で
2chクソゲーオブザイヤー2007の大賞であることに触れているが、
「有志の投票による~」というくだりはかなり誤解を招く表現だ。
クソゲーオブザイヤーは投票制ではなく、
まず大賞に推したいゲームの「選評」を書いてスレに投稿。
それを住人みんなで修正しつつ、
一番説得力の高かったものを話し合いで決めてそれを大賞にするというシステム。
確かに住人の意思と選択で決められているものだが、
それを「有志の投票」と言い切ってしまうのはよくないね。
特集記事では涼宮ハルヒの激動の関係者インタビューがすげぇ!
現在は別の会社にいるらしいが、
当時開発に関わった会社にいた人の匿名インタビュー。
これはこの本じゃないと出来ない企画だわ。
クリア出来なかったけどソフトは持ってるから超面白かった。
販売元の方に聞いたらまた違った言い分がありそうだけど、
なかなか凄い状態での開発だったそうで、
本人がハルヒファンだったからかなり辛かったとか書かれていた。
収録されてるミニゲームの開発がマスターアップの1ヶ月前、
そもそも発売延期しているので本来の発売日を過ぎてから始まったとか、
そりゃあんなクソみたいなミニゲームにもなるわな!
特にホームラン勝負はやたら難しくて
「てめぇこのゲームの原作がアストロ球団じゃなかったことを谷川流に感謝しろよ!」
ってみくるにブチキレながら遊んだわ。
表紙にもなっている大統領ことメタルウルフカオスの記事は6ページ程度で肩透かし。
内容もコンティニューのゲームオブザイヤーで
メタルウルフカオスが1位になった時の思い出話が中心で、
ゲーム内容の紹介記事と言えるものではなかったのでかなり不満。
詳しくはバックナンバー探して読んでね、じゃあダメでしょ。
当時のコンティニューで大統領の記事を書いた、
俺も大好きだったゲームライター、原田勝彦氏へこの原稿を捧げるとの記述があったが、
だったらちゃんと新規で「メタルウルフカオス」の紹介記事を書いて欲しかった。
表紙にまで使ってこの内容はガッカリだ。
「伝説の活字系ゲーム雑誌『ゲーム批評』は何に敗れたか」は必読。
ゲーム批評65号から最後までの編集長だった奈良原士郎氏へのインタビュー。
末期の壮絶な様子や
当時のゲーム批評のゲームメーカーからの嫌われっぷりなどが語られている。
まあいくら酷い状況でももうちょっとやりようはあったとは思うんだけど、
色んな意味で時代についていけなかったんだなー。
ゲーム批評をリニューアルしてG-naviにして新創刊ってことで2倍近く刷ったのに、
G-navi創刊号の売り上げがゲーム批評と大差無くて返本率が酷いとかなかなか泣ける。
新規の読者が一切無かったのか。まあそうだよな!
ゲーム批評は創刊号なんかはホントに全方向に喧嘩売ってるような雑誌で、
やたら攻撃的な面を取り上げて今で言う「ゲハ」の走りだったと言われることも多い。
最初期は確かにひどかったと思う。
でも小島監督、寺田克也、 金子一馬といった豪華メンバーによるコラムは面白かったし、
良い意味でゲーム批評ならではの特集記事も多くて
決して悪い雑誌じゃなかったと思うんだよね。
末期はゲームソフト批評の質も低くなってたけど……。
最後の「クソゲーハンター、秋葉原へ再び!」は
秋葉原に対する愛が伝わってくるいい特集。秋葉に思い入れがあるなら読んでおきたい。
本文中にも書かれているけどマイナーなゲーム雑誌ってホント残ってないよねえ。
ゲーム批評、コンティニュー、ゲームサイドと書評系ゲーム雑誌が全滅して
結局残ったのはゲームラボとプロアクションリプレイだけってのはなかなか辛い現実。
ゲーサイは一応シューティングゲームサイドとして生きてるようなそうでもないような
「ゲームライター」が育ってないってのも大きいと思うんだけど、
育つ場もどんどん失われていっているのが現状。
ネットからどんどんそういう人が出てくればまだ良いんだけどね。
というわけで超クソゲー3。
面白かったことは面白かったんだけど、やっぱクソゲーカタログって看板には首を傾げる。
単純につまらないだけのゲームをクソゲーとして扱うわけではない……とはいうものの、
前書きやあとがきは明らかに
「つまらないゲーム=クソゲー」という文脈で書かれているし
チョイスされているタイトル、書き手、読み手、クソゲーという言葉。
前作から10年という時間の流れのせいもあるだろうけど、
この全部にかなりズレがあるように思えた。
突き詰めると超クソゲーってタイトルにした方が
インパクトがあるからって理由に落ち着くんだろうけどさ。
ただ、ほとんど一冊丸ごと「ゲーム語り」に費やした本って今じゃ珍しいくらいだし、
エネルギッシュで質の高い記事も多い。
飾り気も何もなく「ゲームを語ること」にすべてを費やしたこの本そのものが、
書評系ゲーム雑誌が無くなっていく現状、
そして2chまとめブログと動画だけでゲームが消費されていく
現状への問題提起でもあるとも言える。
賛否はあるだろうが間違いなく一読の価値はあった。超クソゲー4にも期待したい。
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