3DSDLソフト「TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~」のレビュー行くぜ!
配信前にこのゲームを「フリーゲームの3Dリメイク」と何度も書いたが、
実際やってみたら3D非対応だったことを最初にお詫びしておきます。
TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~ 公式アークシステムワークスから2月22日に500円で配信されたソフトで、
元々はフリーで配布されている人気ノベル作品だ。
TRUE REMEMBRANCE オリジナル版公式3DS版での変更点はキャラデザを化物語などでお馴染みのVOFAN氏の手で一新したことと
キャラとイラストを原作者が書き下ろしたおまけシナリオの追加。
「黒目→クロメ」など一部キャラの名前がカタカナ表記になったなどなど。
OPとEDの歌や音楽は一緒ね。
3DS版のディレクターがたまたまニコ動でPC版の実況動画を見て
「是非もっと沢山の方にこの作品を知ってもらいたい」
と思ったところからプロジェクトスタートしたという経緯が凄い。
完成した3DS版にはクリア後のスタッフコメントでそこら辺の経緯が語られているんだが
そのニコ動で実況していた人のコメントも収録して、
スタッフロールにもバッチリ名前を掲載してあるってのがなかなか珍しいね。
すごく健全で素晴らしい流れだ。
グラフィックに関しては
せっかく移植するなら新しい要素もということでイラストを描きなおすことになったが、
「変に色気の強いイラストよりかは、
やさしく物静かな雰囲気を大切にしたいという気持ちがあった」という理由でVOFAN氏を起用することになったとか。
内容は選択肢の無い純粋なデジタルノベル。
ボリュームは大体文庫本1~2冊分くらいなので2~3時間もあれば読み終わるかな。
セーブは5つまででバックログ・スキップ・オートモードと基本は揃っていて、
ボタンでのページ送りと方向キーでのページ送りの両方に対応。
一枚絵を閲覧できるギャラリーモードもある。

自分が抱えている悲しさに耐え切れずに命を絶つ人の数が増え続けている。
それは「セツナ病」という病気だとされ、
国は研究を重ねてセツナ病対策のために白い街を作った。
セツナ病に掛かった人々はこの街にしばらく滞在し、
人の記憶を封じる力を持った「記憶封士」達によって悲しい記憶を忘れて去っていく。
記憶封士を生業としているクロメ。
記憶を消すためにやって来た少女ラ。
物語はこの2人の日常と交流を短編連作形式で描いたもの。
クロメとラの共同生活はラのかわいい反応もあって読んでいて楽しいし、
登場人物こそ少ないもののみんなキャラがしっかり立っていて
ちょっとした会話でも性格や過去が見えてくるのがいい。
クロメとラも好きだけどキョウも好きだなあ。
軽いノリなんだけどもう分かりやすいくらいの「いいヤツ」で。
クロメとのやり取りがいいんだよね。
こいつどうよ?と思っていたリップスはスタッフコメントでまで突っ込まれてて吹いた。
人の記憶を封じること。
忘れなければ自分自身を壊してしまうほどの記憶を抱えてしまうこと。
人から忘れられること。
章ごとに視点と登場するキャラを変えつつ、
「記憶」をテーマにした物語は最初から最後まで芯がまったくぶれずに進んでいく。
話の組み立て方が丁寧でキャラ的にもシナリオ的にもきっちりとまとめてあって、
読み終えた後の満足度は非常に高かった。
「うわー!面白かったー!やって良かったー!もっと早く遊べばよかった!」
って手放しに言えるくらいに面白かったよ!
ちょっとした描写の積み重ねと何気ない会話で深く描かれていく。
静かに降り積もる雪のような物語。
本当に綺麗に終わってるんで続編とかは作れないだろうな。
クロメ以外の記憶封士の仕事風景を描いた外伝とかなら作れそうではあるけど。
リップスの仕事っぷりは色んな意味で見たい。うむ、俺リップスも結構好きかも。
追加シナリオは本編から独立したギャグタッチもので色んな意味でひどい内容。
特にクロメの配役がひどすぎるんだが、
位置づけ的には本編終了後の話なのでクロメと登場人物との会話が沁みる。
笑わせつつもちょっとしたセリフで「ああ……!」って気持ちにさせられる。
本編終了後のおまけシナリオとしてはかなりいいバランスになっているね。
OPの歌やBGMもいい。
BGMはフリー素材らしいけどどれもマッチしてる。
やっぱタイトル画面の曲がお気に入りだな。
欠点というほどではないがグラフィックは気になった。
3DS版から入った俺としてはキャラデザや一枚絵自体は、
これはこれで良いと思ったんだけど、
解像度が低いのかこの立ち絵や一枚絵の表示が妙に荒くて、
細かい部分などが見辛くなってしまってる。
色合いも公式サイトで見るよりくすんでる印象。
3Dにも非対応だし、元々dsiウェアで出すつもりだったのを
内容そのままで急遽3DSDLソフトに変更したんじゃないかなと思わせる……。
ここは勿体無いなあ。せっかくのイラストが。
それ以外だと上画面に立ち絵、下画面にテキストって形式がやや読み辛いくらいかな。
元がフリーゲームとはいえ間違いなく500円出すだけの価値はある。
3DS版のディレクターが
もっと多くの人に遊んでもらいたいと思った気持ちが理解できた。
ファンタジーっぽい世界観だけど文章もキャラも癖が無いから取っ付きやすいと思うし、
文庫本1冊買ったつもりでとりあえず遊んでみて欲しいなあ。
2週目で気付けるような描写もあるので
「原作→3DS」でも「3DS→原作」でも楽しめるぜ。
原作の里見しばさんはもちろん。
この作品に出会うきっかけをくれた3DS版ディレクターにも感謝!
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