仮面ライダーバトライド・ウォー発売記念企画!平成ライダーゲーム16作品連続レビュー! 9本目は!

「ここが……俺の世界!
二つほど世界を飛ばしたような気がするが気のせいだったぜ!」

PS2版仮面ライダーカブトが発売されてから3年。
アーケード用のカードゲームとして仮面ライダーガンバライドが稼動開始したものの、
ゲーム機では電王、キバと仮面ライダーのゲームが発売されない年が続いた。
しかしお祭りのためのお祭りライダーである「仮面ライダーディケイド」の放送に合わせ
家庭用ゲーム機に平成ライダー初のお祭り格闘ゲームが登場!
それがこの仮面ライダークライマックスヒーローズだ!
2009年8月6日発売!定価は6279円!
開発はこれまでのデジフロイドからエイティングに交代。
仮面ライダーディケイドは平成ライダー10周年(これも諸説あるんだが…)を記念したお祭りライダー。
記憶を失った青年、門矢士が変身する。
「歴代平成ライダーに変身可能で、シナリオも歴代平成ライダーの世界を巡る内容」という、
もうド直球のお祭りライダーである。
回る世界が「オリジナルとは違う、ディケイドなりに再構成された世界」
という設定で役者なども異なっていたが、
クウガ~キバまでの平成ライダーの世界を2話ずつ使って旅していくという大変に贅沢な展開。

主役、サブを含めた歴代ライダーが大挙して登場し、
ディケイドと戦いを繰り広げるというあまりにもインパクトのあった第一話から始まり。
「ちょっとくすぐったいぞ」という怪しげなセリフから、
歴代ライダーの身体を武器に変形させる「ファイナルフォームライド」などの衝撃的過ぎるギミック。
悪のライダーや性格の悪いライダーを呼び出してディケイドにぶつける謎の男、鳴滝の暗躍。
サブライダーなどを召還する能力を持ち、時には味方に、時には敵になる謎のライダーディエンドの登場
「ザビーvs555アクセルフォームの高速移動対決」など次々に実現していく夢のライダー対決。
本編で実現できなかった鬼同士のセッションを実現させて響鬼ファンを感涙させた「響鬼の世界」
アギト、G3、ギルスの役を1人に全部やらせるという無茶振りを成立させた「アギトの世界」
クロックアップが解除できなくなり、加速を続ける世界で孤独に戦い続けるという
ヒーローっぷりがグッとくる「カブトの世界」
ドガバキフォームがこんなに恐ろしくカッコ良くなるなんて!と驚いた「キバの世界」
ちょっとアレな世界もあったが、
「毎週がクライマックス!」という盛り上がりで最高にワクワクする番組だった。
9大ライダーの世界を回った後も
まさかのスーパー戦隊とのコラボ回「侍戦隊シンケンジャーの世界」や
並んで変身するブラックとRXが話題となった「ブラックの世界」「RXの世界」など見所満載。
実質、劇場版仮面ライダーブレイドの世界に近かった「ディエンドの世界」なんてのもあったり。
しかしお祭り回は面白い一方で
「ディケイドは世界を救う存在なのか、それとも世界の破壊者なのか。ディケイドは何者なのか」
というディケイド自体の出自に関わる話になると途端にグダグダになり、
本編の先駆けての最終回だった
「劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー 対 大ショッカー」は
本編とまったく繋がらない上に「なんだそりゃ!」という突っ込みどころだらけの内容。
肝心の本編の最終回は、それまでの伏線をぶん投げつつ
更に「続きは映画で!」で終了という史上最悪のオチをやらかす……。
完結編となる映画は世界の破壊者として覚醒したディケイドが、チート性能をフルに使って
歴代ライダーを容赦なくぶっ殺していくという展開で今も恨んでるライダーファンも結構いたり…。
映画が始まると同時に空中で撃墜されるスカイライダーと、
クロックアップを返されて角をへし折られる仮面ライダーカブトは今でもネタにされる描写。
俺はあの「やっちまった感」にゾクゾクしたので結構好きなんだけどね。
映画の結論は
「ディケイドは歴代ライダーをみんなに思い出してもらうためだけのライダーで物語なんて無い!」
という衝撃の内容。これ劇中でホントに言われるから困る。
ディケイドの物語のオチが見たくて映画館に来たのに、ディケイドに物語は無い!宣言ですよ。
メタオチに近い。
沢山の仮面を持ったディケイドだったが、その仮面の下に隠すべき物語なんて無かったんだよ……!
皮肉な名前だぜ!仮面ライダーディケイド!
でも、そこから続くエンディングへの展開は、
伏線や謎をぶん投げまくりの過程が死ぬほど強引だったけどかなり良かったとは思う。
話の都合や製作スタッフの都合に振り回されながら、
最後まで作品内外の色々なものを背負って戦い抜いた、
最強にして最高、最低にして最悪の仮面ライダーディケイド。
俺は今でも歴代ライダーで一番好きなライダーはディケイドだし、
一番面白いと思うライダーもディケイドだと胸を張って言わせてもらうぜ!
ディケイドに関しては最近のお祭り映画でも色々とやらかしていたりで、
まだまだ語り足りないんだがゲームレビューなのでここら辺で……ていうか長くなりすぎた!ごめんね!
とにかくこの仮面ライダーディケイドを主役にした、
歴代平成ライダーが一堂に会して戦う格闘ゲームが本作だ。
ディケイド自体の商業的成功も凄かったんだが、ゲームもそれまでのライダーゲーで一番となるヒット。
以降は新しいライダーが出る度にクライマックスヒーローズの続編が出るようになり、
ライダージェネレーションやガンバライドDSといったそれ以外のライダーゲーにも繋がった。
ライダーゲームファンの新しい旅がここからはじまったのだ!

ゲーム内容は様々なミッションをクリアしていくディケイドモードがメイン。
好きなキャラを選んで戦うバトルモード。
どこまで相手を倒せるかを競うサバイバルモード。
ディケイドモードで手に入れたスチルやカードなどを閲覧するギャラリー。
トレーニングモードなどが主なモードだ。
「好きな相手を選んで自由に戦うモード」は存在しない。

ディケイドモードは各平成ライダーの世界を巡るストーリー……なんだが、
ストーリーはほとんど簡単なテロップやナレーションで済まされる。
話もディケイド本編とはベツモノだ。

使用可能なライダーは
クウガ、アギト、龍騎、555、剣、響鬼、カブト、
電王、ゼロノス、キバ、イクサ、ディケイド、ディエンド、ダークディケイドの14名。
50人を越えてる最新作を見てから改めてプレイすると本当に少ないぜ……。
ディケイドモード限定で使用できるキャラとしてG3-X、オートバジン、ガタックもいるが、
超必殺技ナシで必殺技の数もほとんど1種類のみと突貫工事で突っ込んだ感がすごい。
ガタックなんてクロックアップが出来ない。
ディケイドモードの敵としてのみ登場するキャラとしてリュウガ、ダークカブト、ネガ電王。
ディエンドの召還ライダー限定で王蛇も一応登場。

格闘ゲームとしては
メインとなる攻撃が弱攻撃と強攻撃の二つのみで上中下の打ち分けは無し。
○ボタンと方向キーの組み合わせで必殺技。
ゲージを最大まで溜めてボタンで超必殺技。
ゲージを消費して攻撃のキャンセルや回避なども可能。
ガードクラッシュやサポートキャラによる援護攻撃もアリと、
キャラモノの3D格闘としてオーソドックスな作りではあるものの、
キャラバランスが悪かったりとゲームバランスは非常に大味。
ゲージ消費してボタン一つで繰り出す緊急回避的なスペシャルアタックが
「ゲージ消費少なめ&ガード無視&こっちの攻撃のスキを無視」
で強すぎてこれの打ち合いになったり。これの性能差でキャラ差が決まってしまったり。
ゲージMAXでフォームチェンジするとゲージが減少し始め、
ゲージがゼロになるまでこのスペシャルアタックが撃ち放題だったり。
超必殺技はボタン押した攻撃が当たれば発動なんだけど、
ミスしてもゲージ減らないから当たるまで連発できたり。
まあブレイドゲーや555ゲーに比べれば「格ゲー」にはなってるんだが……。

フォームチェンジ出来るライダーはバラバラで、
例えばクウガはバトル中にドラゴン、マイティ、ペガサスにはチェンジ出来るが
最強フォームであるアルティメットは無し。
逆にキバは最強フォームであるエンペラーフォームに変身できるが、ガルルやドッガ、バッシャーは無し。
どのライダーもこんな調子で非常に中途半端だ。
背景やキャラモデルがガンバライドの流用っぽいのでそのせいと言われてるが、
じゃあなんでアギトとキバは最新作でもフォームチェンジ無いんですかね……。

キャラの演出やモーション、グラフィックの再現度は555~カブト時代と比べてガクッとランクダウン。
前作まではエフェクトや質感が素晴らしかっただけに残念な点。
これ遊んでからPS2版カブトに戻るとレベルの差に驚く。
超必殺技もショボくて効果音もカメラワークも今一つ
超必殺技は最新作の超クラヒでもあんまり変わってないのがあったりするから困る……。
効果音もミスや手抜きが目立つ。
一番分かりやすいのだと電王のライダーパスの音が全部ソードフォームだったりね。
BGMはすべてゲームオリジナルで、TVのディケイド本編を意識した演出もあんまり無い。
ディケイド以外の大半のライダーは声がオリジナルとは違う声優。
これはまあ大人の都合もあるんでしょうがないんだが、
明らかに元のライダーに合ってなかったり、戦闘中のセリフに違和感あったりで微妙。
響鬼さんの人は妙に上手いんだけど……。
龍騎の「アンタが悪いんだぜ!」と
キバの「僕は人間として戦う…」は今でもネタにされる迷セリフ。
龍騎はディケイド本編で「いいザマだ……」みたいなセリフがあったので
そこをイメージしたという解釈は出来なくないが、まあ、ムリがあるわな!
キバは擁護の余地がない。本編と全然違うじゃないか!しかもなかなか直らなかった。
数は少ないけどクウガvsアギトで固有セリフがあるとかそういうのは良かったんだけどね。

そんなわけでキャラゲーとしても格ゲーとしても非常に中途半端な1本だが、
指定されたライダーを使ってミッションをクリアしていくディケイドモードは
かなり作業的ではあるものの
ディケイド本編の「夢のライダー対決」を雰囲気だけでも味わえるので悪くは無い。
ディケイドはちゃんとファイナルフォームライド9種類を使えるし、
バトル中に使うファイナルフォームライドを自由にセット出来るので、
相手のライダーに合わせて使い分けたり、
カメンライドして必殺技当てて倒すのに拘ってみたり。自分なりに演出してみるのは楽しい。

ディケイド本編だと電王のファイナルフォームライドは「電王をモモタロスにする」という
「ああ、人気モノの電王はあんまり変ないじり方出来ないんですね!」感バリバリなものだったけど、
この初代クラヒではイマジンのパーツを装着してパワーアップするというものになってるのも面白い。
実はこれディケイドのフィギュア玩具限定の姿だったり。
意外なところからネタを拾ってきたな。
ちなみに攻撃を喰らっても仰け反らなくなるので超チート性能です。
ディケイドモードのストーリー自体は
「とりあえずライダーバトル」→「カードを見せて相手ライダーが何故か納得」
の繰り返しで非常に単純。
まあ、専用掛け合いはあるし、ディケイドのことを「青年!」って呼ぶ響鬼さんなんかは結構好きだね。
歴代ライダーとディケイドの掛け合いなどは、
この初代クラヒのディケイドモードのみでしか聞けない組み合わせも多数存在している。
「悪いな、俺は未確認じゃない」「知ってるか?こいつの笑顔、悪くない」
「俺のカードの方が強かったな」「スマートブレイン?違うね」「やれやれ、今度は鬼退治か」
などなど、以降のシリーズではバッサリとカットされたがな……。


プレイしていくとTV本編のスチールが閲覧できるのは平成ライダーゲーの通例通りだが、
「スマートブレインハイスクールの校歌」とか
「未確認生命体四号がトップの新聞記事」とかニヤリとするようなスチールもある。


この初代クライマックスヒーローズを語る上で避けて通れないのはダークディケイドだろう。
完全なゲームオリジナルのラスボスで、
本作とその完全版に近いW以降ではバッサリと削除されているレアなキャラクター。
まあ、声がちょっと違うだけで性能はディケイドとほとんど同じなんだけどね。

「もう1人のディケイドであり、記憶を失う前の破壊者としての士自身」という設定。
迷走しまくったディケイド本編を考えるともうコイツがラスボスでよかったのでは……。
そういえばディケイド完結編映画の予告編にも
もう1人の士がいたような気がしたけど気のせいだったぜ!

すべてのライダーの世界を巡り、破壊者である自分と決別した士は旅を終えようとするが、
その目の前に11番目の世界が出現する。
自分もライダーの歴史の一つに過ぎないことを自覚した士は
再びディケイドに変身して旅を続けるのだった。
という、捻りの無いゲームオリジナルエンディングも、
「現在進行形で迷走しまくってる仮面ライダーディケイド」を見てるとなんかグッと来るぜ……。

これまで掲載したスクショを見て、
「ライダー名のフォントがTHEお姉チャンバラっぽくね?」と気付いた人も超絶的に多いと思うが……。
実は音楽やってるのが
チョロQシリーズや閃乱カグラやお姉チャンバラに関わってる本山明燮だったりするので、
これもWii版プロゴルファー猿と同じで開発エイティングと見せかけて、
実はタムソフトに丸投げってパターンの可能性がかなり高いんですがね。
エイティング公式に初代クラヒとクラヒWだけ名前無いし。
このゲームの内容がタムソフトのせいって言いたいわけじゃないぞ。
オーズ以降もシステム刷新してるとはいえ劇的にパワーアップしてるわけじゃないからな!
曲はギターバリバリで確かにタムっぽく感じる。

言ってしまえば過去のライダーゲーと比較しても雑な1本ではあり、ライダーゲーを破壊した1本とも言える。
しかし、創造は破壊からしか生まれない。
このゲームが商業的な成功を収めて止まっていたライダーゲーが復活する切っ掛けになり、
数々の続編や新シリーズが生まれることになった功績はもう少し認められてもいい作品だ。
仮面ライダーバトライド・ウォーだってこれがあったから生まれたんだからな。
全部ひっくるめて仮面ライダーディケイドらしい1本だよ!
俺も不満点は多いがなんだかんだで発売当時は結構楽しんでプレイした思い出深いゲーム。
久しぶりのライダーゲーで、初のお祭り格ゲーだったからね。
俺が仮面ライダーディケイドが全ライダーで一番好きってのも大きい。
何故か古谷徹が歌っていて、何故か昭和っぽいノリの主題歌である
「集合!クライマックスヒーローズ」も好きよ。

まあ……こんな予算と納期の都合バリバリ全開な内容にも関わらず、
エンディングに石ノ森章太郎の言葉を引用して
ドン!って画面に映すのはかなりどうかなって思いますけどね!
NEXT
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仮面ライダークライマックスヒーローズW」
さあ!お前の罪を数えろ!
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直接555アクセルで戦ったのってカブトじゃなくてザビーだったような