仮面ライダーバトライド・ウォー発売記念企画!平成ライダーゲーム16作品連続レビュー! 8本目は!

「ここが噂に聞くカブトの世界か」

2006年の11月30日にPS2で発売された仮面ライダーカブト!6279円。
開発は今回もデジフロイドで対戦アクションだが、
フィールドを360度自由に動き回れるようになり、バトルも2vs2が基本。
これまでのライダーゲーと大きく異なる内容となっている。
今なお平成ライダーゲーム最高傑作と呼ばれることの多い作品で、
「神ゲーを越えた天ゲーである」という評価もよく聞く。
仮面ライダーカブトは2006年1月に放送開始した平成ライダー7作目。
前年の響鬼とは違い、昆虫をモチーフにしたパワードスーツ的な外見で大きな複眼もあり、
正統派にカッコよく、正統派に仮面ライダーなデザインとなっている。
変身すると最初はいかにも鈍重でダサい(そこがいいんだが)マスクドフォームになるが、
しばらく戦ってから「キャストオフ!」の声と共に纏った装甲を弾き飛ばし
スマートなライダーフォームになるという2段変身も特徴。
ライダーフォームになってからはクロックアップという高速移動で可能となり、
敵であるワームもこれを使ってくるので凄まじい高速バトルが展開される。
雨が降っている場所でクロックアップ!静止した雨粒を弾きながらのバトル!
遊園地でクロックアップ!止まってるジェットコースターの上でバトル!とかね。
カブトのライダーキックも
「相手の攻撃に対して回し蹴りでカウンターをする」という独特のものでこれがまた超カッコいいのだ
ちなみに服を脱がせられるフィギュアのことを「キャストオフ可能」などと呼ぶが、
語源はこの仮面ライダーカブトである。
登場キャラも「天の道を往き、すべてを司る男」という、
なんだか分からないが物凄い肩書きを背負って登場し
完璧超人っぷりで他人を圧倒しながら
「おばあちゃんが言っていた……」という前口上から何か良いことを語りだす
水嶋ヒロ演じる天道総司を始めとしてどいつもこいつも濃ゆいキャラ揃い。
人間を殺害して姿と記憶を完全にコピー出来る宇宙生命体ワームが人間社会に紛れ込んでおり、
それに対抗するために人類側は秘密組織ゼクトを結成。
劣勢だったゼクト側が切り札として作ったのがライダーに変身できるマスクドライダーシステム!
というSF色の強い謎多きストーリーも魅力だった。
……最初はな!
その濃いキャラ達でぶっ飛んだギャグ回を何回もやったりして遊びすぎてグダグダになって
伏線も色々と投げっぱなしにした挙句に尻すぼみで最終回みたいな……。
まあそれでも、キャラと設定、ギミックは本当に素晴らしい仮面ライダーで
今でも「一番カッコいいライダーはカブト!」という声も多く聞く作品だ。
俺の意見?一番カッコ良くて一番強いライダーはディケイドに決まってんだろ!?

簡単に原作の解説をするつもりがつい熱が入ってしまった!
登場キャラはライダーが仮面ライダーカブト、ザビー(矢車/影山/加賀美)、ドレイク、サソード、
ガタック、キックホッパー、パンチホッパー、ダークカブト、ゼクトルーパー、ゼクトルーパーシャドウ
カブトハイパーフォーム、ガタックハイパーフォーム、コーカサス、ヘラクス、ケタロス。
ワームがアラクネアワーム(ルボア/フラバス/ニグリティア)、ベルバーワーム、
フォルミカアルビュスワーム、セパルチュラワーム、タランテスワームパープラ、
スコルピオワーム、アキャリナワームアンバー、ウカワーム。
カブト本編と映画に登場した仮面ライダーをすべて収録!
この圧倒的なキャラ数!変身者違いのバリエーションも完全網羅だ!
ワームもサナギワームからスタートして途中から脱皮して成虫になるワームと
最初から成虫なワームの2種類がいる。
これまでのライダーゲーでは劇場版に登場したライダーは無しというのが当たり前で、
登場したのは龍騎ゲーとアギトゲーくらいだったんだが、
今回は劇場版ライダーであるコーカサス、ヘラクス、ケタロスの3人も参戦してる。
ヘラクス以外の2人は違う声になっているものの、セリフや必殺技も再現。

劇場版のラスボスであるコーカサスはK-1の武蔵選手が演じていたんだが、
本作ではアニメではギロロ伍長、特撮的にはライブマンのビアス教授でお馴染みである
声優の中田譲治が声を当てている。
「薔薇の花言葉は愛……愛と共に散りたまえ!」「薔薇は最強の証。すなわち私が最強です」
などのセリフが超ハマっていて、むしろゲーム版の方が貫禄あってカッコいいという……。
映画だと生身で戦ってから変身という流れだったので、
武蔵選手もあれはあれで不気味さがあったと思うけどね。

ガタックのハイパーフォーム収録してんのも凄すぎる。
こいつは「てれびくんの応募者全員サービスDVDだけに登場」という一発ネタに近いもので、
入ってなくても文句言う人はあんまりいなかったと思うんだけど……ちゃんと収録!

パッケージ裏の「すべてのライダーが登場!!」という
シンプルながら堂々とした売り文句に偽りなしの圧倒的キャラ数だぜ!
これに対して
「ええ~?ネイティブの人が変身したドレイクとか、三島さんが変身したザビーとかいねぇじゃん?」
と、1回だけ例外的に変身した例を上げて揚げ足を取るような人間には天の道を歩く資格は無い!

ゲームを起動すると天道の声で
「おばあちゃんが言っていた。プレイする時は部屋を明るくし~」
と注意書きを読み上げてくれる演出が。
最近のライダーゲーだとキャラの声で注意書きを読み上げるのはお馴染みになってるけど
このカブトが元祖。バージョン違いもあったりする凝りっぷりである。
OPは「NEXT LEVEL」を共にポリゴンモデルでカブト本編を再現したデモで、
戦闘シーンとバイク疾走シーンに登場するライダーがランダムで変化。
通常はカブトが戦うシーンがガタックになったりドレイクになったり。
バイクも変化したり実に細かい。
カブトライダーだとドレイクが好きですね。カッコいい。
役者の都合で出番が本筋に絡まない単発回が中心になった分、印象に残る話が多かった。

タイトル画面に登場するキャラクターもランダムで変化。
ゼクトルーパーが登場することも……。
ヘルメット被ってるのにドヤ顔に見えて仕方が無い。

操作方法は方向スティックか十字キーでキャラの移動
○ボタンで弱攻撃、×ボタンで強攻撃、□ボタンでジャンプ。
×+□ボタンで特殊攻撃や武器の切り替え。○+×ボタンで投げ技。
L2ボタンで攻撃する相手のロックオン、R1ボタンでガード、
R2ボタン押しながら移動でロックオンした相手を無視して自在にダッシュ移動。
△ボタンは状況に応じてキャストオフやクロックアップ、必殺技などのアクションに使う。
他にも回り込みや回り込み攻撃、ガード中に○ボタンで攻撃弾きなど様々な操作がある。
基本的にライダーは防御力の高いマスクドフォームからスタートする。
しばらく戦っていくとゲージが溜まっていき、
△ボタンでキャストオフしてライダーフォームに変身。
ライダーフォームになってからさらに攻撃を当てたりガードしたりしていくと
ゲージが溜まってクロックアップ可能。
発動すれば一定時間超高速で移動可能になり、相手はスローな動きになるので一方的な攻撃が可能。
必殺技も発動可能で当たれば大ダメージだ。
ただし、クロックアップ中に相手がクロックアップしてくると当然同じ速度での戦いになるし、
その場合は先にクロックアップした方が先に時間切れになるので若干不利になる。
相手がクロックアップしてくるのを防御力の高いマスクドフォームで待ち、
ゲージ切れになったところをキャストオフ→クロックアップで攻めるなんて手も使えるし
どこでキャストオフとクロックアップするかが重要。
技の組み合わせやコンボも多く存在していて、フィールドを走り回りながら戦うのが非常に楽しい。
体力が半分になるとBGMが番組の挿入歌で今も人気の高い「FULL FORCE」。
これに合わせてキャストオフしたりクロックアップしたり必殺技をあわせたりして、
番組そのままの戦い方を再現出来ると脳汁が出るぜ。
「キャストオフで敵をまとめて吹き飛ばせる」
「カブトの必殺技はボタンを3回押してからじゃないと発動しない」など、
原作らしさに溢れるギミックも満載。
2vs2が基本だけど1vs2や2vs1も自由に選べるし、
ゼクトルーパーやサナギワームからスタートするワームなど
戦闘員的なキャラを相棒に選ぶと2人登場するので最大3人で戦うことも出来る。
本編はこういう複数でのバトルが多かったので実にステキな仕様だ。
まあ脱皮すればクロックアップも可能なワームはともかく、
ゼクトルーパーは生ゴミに手足がついたような弱さなので、
CPU操作だと1人増えたところであんま意味ないんですが。
ゼクトルーパーで頑張って戦ってみるのもそれはそれでアリ。
スライディングと豆鉄砲で勝機を見つけるしかねぇ……!

グラフィックは1試合に登場するキャラが多いせいかこれまでよりやや荒くは感じるが、
それでも光の反射表現など十分に綺麗だし、
クロックアップすると背景の雨がゆっくりになったりする演出もしっかりある。
キャストオフした時の各パーツのロックが次々に外れていく描写の再現や
クロックアップ中のスロー表現などの丁寧さは最近のライダーゲーより上だと思うわ。
必殺技の再現度も文句なし。

ゲーム発売時にまだ必殺技も性格も分からなかったダークカブトはほぼゲームオリジナルキャラ。
「てぇーい☆」みたいなキャラだった本編と違って復讐に燃える暗い性格だ。
ライダーキックも相手にカカト落としをして、
そのままパワーを注ぎ込んで踏み潰すという独特の描写に。
本編のダークカブトよりカッコいいじゃねぇか!

モードはカブト、ライダー、ワームの3ルートを選んでカブト本編を追体験する1Pバスターモード。
1人プレイか2人プレイで自由にキャラを選んで全5ステージを戦い抜く1P・2Pバトルモード。
1人プレイか2人プレイで自由にキャラを選んで対戦が出来る1P・2Pフリーバトルモード。
対戦モード、サバイバルモード、各種デモが閲覧可能なデモビューワなどだ。

バスターモードは原作を再現したデモや会話などがあり、
必殺技やクロックアップ、キャストオフ時に専用のデモが挟まるのもここだけ。
ゼクトルーパー5人で戦う場面など、通常モードでは出来ない組み合わせの戦いもある。

劇場版を元にしたバトルも収録されていて、
ちゃんと「お前は天空を!俺は地上を制する!」とか、
「我が魂はゼクトと共にありィィィィーーーーッ!」などの名セリフも収録!
他にもカブトvsスコルピオワーム終了時の
「姉さん…ごめん……」
「お前のせいじゃない。姉さんもきっと許してくれる。」というオリジナルの掛け合いはかなりグッと来たぜ……。

サバイバルモードもただ戦うだけの内容ではなく専用のステージを用意。
ザコ敵であるサナギワームをひたすら倒しまくる内容で、10体倒すごとにボスが登場。
回復アイテムを拾いながら100体倒せばクリアとアクションゲームっぽいモード。
サナギワームを次々に薙ぎ倒していくのが実に爽快。

回復アイテムがTV見てる大人のお友達にしか分からないようなネタでずるい……!
取ると「トウフ パワー」「サバミソ パワー」とか謎の音声が流れる。そんな音声カブトに無いですから!
デモビューアも必殺技デモ以外の登場デモなんかも見れるし、
背景や必殺技を受ける相手側のキャラ設定も可能と非常に凝っているぜ。
欠点は投げ技がダメージが高い、当てやすい、
発動中は無敵、ゲージ溜まりやすいと、お手軽に万能過ぎる点かなあ。
勝とうと思うとこれを連発する戦法に落ち着いてしまう。
ゼクトルーパーには投げ技が無いので安心してもらいたい。
必殺技も無いワームが使っててそんなに楽しくないのと、
発売時期の関係でしょうがないんだろうが
ハイパーカブトにキックが無いのと、ワームにカッシスワームがいないのも残念!
隠しキャラの出現条件がお子様には厳しいのも賛否分かれそう。
一応、かんたん操作も用意されているものの、
難易度ふつう以上にしないと出現しないのが大半で、敵CPUも結構強め。
ゼクトルーパー1人だけでバトルモードクリアしろとかかなり酷い条件のもあるぞ!
ハイパーカブトが出てきたら絶望が俺のゴールだ!って言いたくなる。
グラフィック、小ネタ、システム、キャラ数。
今遊んでもライダーゲーの中でも頭一つ抜けた完成度だと唸る面白さ。
元々、ギミックがゲーム向けだった仮面ライダーカブトに
製作スタッフの情熱がピタリとはまり込んで生まれた渾身の作品。
ゲームとしてバランス悪い面も確かにあるが、
仮面ライダーカブトの世界を自らの手で体験するゲームとして最高のゲームなのは間違いないぜ。
カブトファンなら一度遊んでおくべき。
カブトゲーの完成度の高さから次回作も期待されたが、
このカブト以降、仮面ライダーのゲームはしばらく発売されなくなってしまう。
そしてしばらく時が経ち……。
NEXT
「仮面ライダークライマックスヒーローズ」
全てを破壊し、全てを繋げ!
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これ偶然観て度肝抜かれたよ…。なんか観たいのがどんどん増えて困る。