
もののけ探偵のレビュー行くぜ!
もののけ探偵 信太のあやかし事件帳 公式もののけ探偵 信太のあやかし事件帳は3月26日にアークシステムワークスから800円で配信されたADV。
開発はSIMPLEシリーズのTHE推理やTHE鑑識官、
THE爆弾処理班にTHE裁判などで根強いファンを獲得したトムキャットシステムだ!
まさかディースリーパブリッシャーではなくアークからトムの新作ADVが出るとは……。
シナリオは全8話となかなかのボリューム。
各シナリオをクリアするとメニュー画面からその話の後日談を読むことも出来る。
大正時代を舞台にした推理ADV。
骨董屋の若主人で、半ズボンで、人ならざるものによる事件を扱うもののけ探偵でもある信太が主人公。
許婚であり姉のような存在でもある志保。
信太の扱う式神でネコのような姿をしているシロ。
この3人と個性豊かなサブキャラ達がドタバタを繰り広げながら怪事件に挑んでいく内容だ。

骨董家に怪しい事件の調査依頼が舞い込むのでそれを受けて現地に移動。
(信太自身も半分は狐のもののけなので稲荷を使って全国各地にワープ出来る)
事件現場を調査。もののけの手掛かりを見つけたら文献を漁ったり専門家に聞いたりして
そのもののけが何者なのか、そのもののけの「真名(本当の名前)」がなんなのかを探りだす。
信太はお札を使って真名を知っている相手を封印できる能力があるのでそれでもののけと対決!
勝利!一件落着!大正桜に浪漫の嵐!というのが大体の流れ。
THE鑑識官は選択肢をミスるとクリア評価がどんどん下がっていく上に
クリア評価を一定以上にしないと最終シナリオが出ないという余計なシステムがあったが、
もののけ探偵はそういう要素も無いし難易度は低い。調査ではほとんど詰まることなくサクサク進行。
妖怪関連のうんちくを挟みつつ、キャラの掛け合いでテンポ良くスルスルと読ませる。
いつものトムキャットシステム製ADVのノリだな。

もののけの真名を知るヒントになる「漢字の部首」を1つずつ手に入れて
全部揃ったところで組み合わせて名前になる漢字を作成するっていう流れも面白いし
大正時代が舞台だからこその雰囲気も良し。個人的には付藻神の話が一番好きだなあ。

メインの3人以外もいい味出してるっていうか3人以外の方が面白い連中多かったり。
こちらは生臭坊主の恵心さん。
「こいつフルボイスだったら絶対CV藤原啓治だよ!」って見た目だけど実際そんな感じのキャラです。
子供っぽい喋り方でめっちゃロクでもないおっさんなんだけど腕は確か。
こんな親を持ちながらもたくましく育っている娘のさち子ちゃんも大活躍。

上から目線の嫌なヤツだけどイケメンで金払いはいいしなんだかんだで主人公を助けてくれる、
なんとなく女性人気が一番高そうな天才陰陽師の五条院さん。いや俺も結構好きなんだけども。
あざといと言えばめっちゃあざといキャラである。

なんかすげぇ見覚えのある巡査出てきた!

他にも会うなり聖水をぶっかけてくる神父とかクセのあるキャラが次々に登場する。
個性豊かなキャラにシナリオ毎に登場する様々なもののけ。
急激な時代の変化で変わっていく人ともののけの関わりや主人公の出生の謎など。
サクサクと進むが一気に遊ばせる魅力のある内容だ。
さすが安定のトムキャットシステムと言ったところか。

欠点はまずメインキャラとそれ以外のキャラの絵柄が露骨に違うことですね……。
サブキャラの絵が明らかにショボい上に浮きまくってて違和感が凄い。

もののけも見た目がギャグ漫画の登場キャラにしか見えないショボいヤツが多くて緊張感が一気に削がれる。
もののけとのやり取りが一番重要なシナリオなのにこれはちょっと……。

頻繁にしょーもないミニゲームをやらされるのもしんどかった。
特にこの鳥居を使ってワープする時にやらされるイライラ棒みたいなミニゲームにはうんざり。
壁にぶつからないようにキャラをタッチペンで動かす内容で……。
これを1シナリオに2回くらいのペースでやることになるからもう本当に勘弁してもらいたい。
妖怪とのバトルもタッチペンでお札を投げて当てるミニゲームとか、
3DS本体のジャイロセンサーを使ってキャラを動かしてぶつけるミニゲームとか、
本当に取ってつけたようなショボいものばかりで、控えめに言っても無い方がマシなレベル。
部首を組み合わせてもののけの名前を作るミニゲームはいいんだ。あれは必要。
簡単だけどシナリオ的にも必然性があるし、もののけの正体が分かっていく盛り上がりなどもある。
ただ、それ以外のミニゲームは「なんでこんなことしなきゃいけないの?」ってのばかり。
格上のもののけとの決戦!高まる緊迫感!始まるショボいミニゲーム!下がる俺のテンション!
キャラはいいんだけど主人公が新米ということを差し引いても
ちょっと専門家に話を聞きすぎという印象が。
ここら辺はTHE鑑識官をちょっと引き摺ってる感じするかな。
あれは主人公があくまでも鑑識官だから見つけた証拠を専門家に聞く流れは納得いくんだけど、
これは主人公が探偵なんだからもうちょっと自分で行動を起こして推理するノリを強くしても良かったと思う。
まあ、ゲーム難易度が低いからこう感じてしまうってのはあるんだろうけども。
シナリオも一応の決着は付くものの、
続編への伏線がかなり残ったまま終わるのでややスッキリしない。
スタッフも公式サイトでも続編を出したいようなこと言ってるからねえ。
文字が見づらいとか全体マップでしかセーブ出来ないとかUIも全体的にショボい。
雰囲気やキャラは良いしシナリオ自体も面白いのは確かなんだが、
グラフィックやUIやミニゲームのチープさにかなり足を引っ張られてる惜しい1本。
それでもトムキャットシステムのファンならば買いなのは間違い無いし、
もちろん過去のトム作品を一本もやったことなくても楽しめる内容になってる。
公式サイト見てキャラやノリが合いそうだったら是非プレイして欲しいぜ。
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今後続けていくのならその後に評価するべきだけど…まさか単発で終わるとかそういうオチは無いと思いたい