SIMPLE1500シリーズ Vol.99 THE剣道~剣の花道~ D3公式
PSストア SIMPLE1500シリーズ Vol.99 THE 剣道~剣の花道~2002年の8月29日に1500円で発売されたSIMPLE1500 THE剣道~剣の花道~のレビュー行くぜ!
現在はゲームアーカイブスで309円で購入可能だ!
ウソでしょ?!価格破壊にもほどがあるじゃない!
開発はアメディオ。
SIMPLE1500だとよりにもよってTHE卓球やTHEすごろくを手がけたところだが……。
THE宇宙飛行士もここなので経験を詰んで面白いものを出せるようにもなったということか。
既にPS2とSIMPLE2000シリーズが発売されていたSIMPLE1500末期の作品ということもあり
埋もれている感が強いが、本作はSIMPLE1500シリーズ屈指の良バカゲーと言っていい1本だぜ。
内容はタイトル通り「剣道」をゲーム化したもの。
題材的にゲーム化が難しいからか、
家庭用ゲーム機ではミニゲームの1つなどで剣道を収録しているタイトルはあっても、
「剣道」単独でのゲームは2014年現在、他に存在しない。
SIMPLE1500 THE剣道は唯一無二のゲームなのである。
SIMPLE1500はこういうレアな題材のゲーム化が多いシリーズだったなー。
つまり
「本作は日本のゲームの歴史上もっともリアリティのある剣道のゲームである」と断言してもまったく問題ないわけだ。唯一無二の作品なんだからな!
あ、「負けるな!魔剣道」はノーカウントね。
この記事を書いた後に「SG-1000のチャンピオン剣道」があったと指摘されたが……。
3Dアクションでリアルに剣道を再現したゲームはこれだけということで……ッ!

モードは3人の主人公を選んでプレイするストーリーモード。
5回負けるまでひたすらエンドレスで戦い続ける野試合モード。
キャラとステージを自由に選んで2PあるはCPUと対戦出来る対戦モード。
この3つだ。
ストーリーモードや野試合モードをやりこむと使えるキャラやステージが増える仕様。

オプションでは効果音を「通常」「派手」の2種類から選べる。
ON/OFFならともかく斬新な仕様だ……!


操作は方向キーの左右で移動、左右どちらか2回押しでステップ移動、R1とR2ボタンで手前と奥へ移動。
○ボタンで胴、□ボタンで突き、△ボタンで面、×ボタンで払い、方向キー上と×ボタンで小手。
L1ボタンでキャラ毎の固有技だ。
ガードはボタンを何も押していないと自動で中段ガード、
方向キーを上に入れると竹刀を上に構えて上段ガードとなる。
攻撃の出始めに別の攻撃ボタンを押す事でフェイント攻撃も可能だ。
中段攻撃である胴…と見せかけて上段攻撃の面!とかね。
「払い」は中段ガードを崩せるので、突っ立ってる相手はこれで崩して面を打ち込んだり。
上段ガードは「小手」で1本取れるのでそっちも狙える。
相手と一定以上接近すると鍔迫り合いが発生。
方向キー左右と何も入力しないの3すくみで、勝てば相手を押したり手前にすかしたりができる。
固有技はキャラ毎に違ういわゆる必殺技。
大ジャンプしての面打ちや、回転斬りでの胴などなど。
ここだけかなりゲームっぽい味付けだが、地味なゲームなのでこれはこれでアリ。
間合いを一気に詰められたりと、使い所を間違えなければ強力だ。
まあ、そこら辺を考慮しても味付けが強すぎるキャラも一部いるけどね……。

シンプルながらしっかりと読み合いができるシステム。
相手が上段ガードで構えているからあえて中段から上段のフェイント攻撃を仕掛けてみるなど、
フェイントを織り交ぜた攻防や、上段or中段という相手の構えに合わせた打ち分け。
ステップで飛び込んで鍔迫り合いに持ち込むなどの戦法も可能だし、固有技を使うタイミングも面白い。
キャラの動きがやや遅く、
攻撃をする時の「面!」という声を聞いてから上段ガードをしても十分間に合うゲームスピードだが、
だからこそしっかりとした読み合いと立ち回りが求められるのだ。
キャラの動きやグラフィックがいくらなんでも…というショボさで、
ボイスが男女合計で3種類しかないのが難点なのと、
競技が競技なので地味で勝敗があっさりついてしまうのも物足りなさがあるが、
そこは剣道をシミュレートした結果と思えば納得するしかないだろう!
剣道なのでほとんどのキャラを色違いの胴着で済ませてもあんまり不自然じゃないのは
うまくやりやがったなSIMPLE!って思った。

レビューはここからが本番。
メインとなるストーリーモードは1人クリアする毎に新しい主人公のシナリオが解禁されていく仕様だ。
どのシナリオも5試合くらいすると終わりで会話デモも長くないからすぐ終わってしまうが、
三者三様の魅力がある。

1人目は天野陽太(17歳)。全国大会を目指す高校生だ!
尺の都合でいきなり全国大会の前日からスタートする。

顧問の先生から大会前の調整として基本ルールをおさらいする、という流れでのチュートリアルもある。
画面の指示に従うと次のチュートリアルに進み、フェイント技などのテクニックも教えてくれる。
面倒なら選択肢で全部すっ飛ばせる。
SIMPLEシリーズ全体を通してもここまで丁寧なチュートリアルは珍しいな……。

熱心で結構いい先生なのに主人公がdisりまくるのがちょっと悲しい。
全国大会優勝を目指す主人公、かわいい女の子マネージャー、
そのマネージャーを狙ってるイケメンで強豪高校の主将であるライバル。
全国大会でぶつかることになる個性的な敵たち……。
と、非常に王道的な展開だ。キャラデザも結構いいんだよな。

大家族を支えるために頑張るライバルとか。いいねこのベタさ。


数カットしか登場しないのに無駄に印象的な巫女さんや対戦相手のヤンキーなどなど。
無駄に個性的な連中が揃っていて会話デモも面白い。

俺が一番好きなのは
マネージャーから自分の髪の毛を入れたお守りを貰った主人公が普通に引くシーンですね。
髪の毛を入れた理由が「私が入れればよかったんだけどムリだから」なのも色々凄い。
オチも含めて良い意味でベタな王道シナリオだ。

2人目は剣道大好きで、大きな大会にも何度か出場している婦警さんである剣道よしみ(23)が主人公だ。
こういう突っ込んだ方が完全敗北する名前はやめてもらえませんかね……!
どうもこのシナリオから製作スタッフが自分の脳を道に捨てたらしく、カオス度が急上昇する。
武道館で行われている全日本剣道大会の会場に、銀行強盗の犯人が逃げ込んだ!
剣道が好きなのでサボって武道館の近くにいて
胴着もいつも持ち歩いていたよしみも会場に潜入して犯人の捜索に乗り出す!

しかし犯人も剣道の心得があり、面で顔を隠している。
捜索は困難……そこに面をした怪しい男が通りかかる!

テロップでも「怪しい男」と表示!
この男の正体を知るためによしみが取った行動は?!

「面を割る」

相手を配管室に引っ張りこんでムリヤリ面を割る!これで犯人かどうか分かる!
そういうわけなのでよしみシナリオの試合は中盤まで「面で勝て」という条件がつきます。
どういうことなの……。
面って竹刀で割れるようなモンじゃないだろ?!仮に割れたとしても相手死ぬよ!
もちろん、これで面を割った怪しい男は犯人でもなんでもなくそのまま気絶します。
その後も、警察からの通信で犯人の情報を聞き
情報に該当するっぽい怪しい男を片っ端から配管室に引っ張りこみ、
試合で面を破壊するという流れが続く……。
最終的に犯人は捕まるが、そのままとある組織のアジトに踏み込むことに。

明らかに西洋甲冑にしか思えない装備を着込んだ怪しい男との対決!

そして「ボス」の登場だ!

突っ込み所多すぎるわこの展開!
もちろん剣道のゲームなのですべて剣道のルールに乗っ取った試合で勝敗を決めます!
クリアするとこのボスも使えるようになるんだが、固有技がなんとビーム!

これが……剣道だッ!
しかしこのビーム、見た目はいいがスキがデカい上に威力も弱い完全にロマン技だ。
まあビームは男のロマンなので何も間違ってはいない。

ボスだけでなく配管室ステージも解禁されます。

よしみシナリオで頭痛が痛くなった後の3人目は鉄蔵(49)シナリオ。
キャラの雰囲気もガラリと変わってグッと渋いノリに。裏世界の闘技場で行われる「賭け剣道」で戦う内容だ。
賭け…剣道……?
元々は最強の剣士を目指して闘技場にやってきた鉄蔵だったが、
そこに集まるのは大金と共にやってくる金持ちと、それをダシに金を稼ぐ組織だった。
見世物として八百長を演じる腐りきった日々を送る鉄蔵。
組織に逆らう勇気も無くただ毎日八百長をこなす。

鉄蔵のモノローグ中心で進むシナリオはなかなか面白いし、
同僚とのちょっとしたセリフも味わい深いぜ。
シナリオ上での最初の試合は「最も危険な男」の異名を持つ相手だ
「危険」の方向性そっちかよ?!直球過ぎるだろこれ!

裏世界の賭け剣道なので装備も甲冑っぽいものとなっております。

鉄蔵シナリオのvsホセがこのゲーム最大の難所。
勝利条件が「タイムアップで引き分けにしろ」だ。
制限時間5分+延長3分間をひたすら防戦し続けなければならないので厳しい。
このゲームの制限時間は1秒が2秒くらいの速度でカウントされるので実際は3分くらいだが、
それでも相手の攻撃をひたすらガードし続けるの本当にしんどい!
胴と面しか使ってこないから、胴が来たらボタンを押さないor手前避け、面が来たら上ガード。
これを頭と指に叩き込んでリトライを繰り返すしかない。
昔遊んだ時はクリアできなくて今回どうにかクリア出来たが、
ここは理不尽なだけでゲーム全体の評価を落とす欠点だと思うわ。

とはいえ鉄蔵はカッコいいし、終盤の試合で「あるグラフィック」が変化する演出はシビれた。
それだけにあのオチは……まあ、めでたしめでたし……なのか?!
プレイアブルキャラは全8キャラ。
ストーリーモードクリアで6キャラまで解禁されて
後はエンドレスの野試合モードをやれば埋まるっぽいんだけど、
47人抜きしてランキング1位取っても出なかった……。
条件知っている人がいたら是非一報を!

難所を除けば1時間程度で終わるストーリーモードがメインで、
あとはエンドレスモードとフリー対戦しかないゲームだが、
地味ながらしっかりしたシステムとストーリーモードの破天荒さがたまらない良バカゲーだ。
ゲームアーカイブスで安価に配信されている今だからこそ、是非遊んでもらいたい!
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なんだと……2がアーカイブス出てるというのに