SIMPLE1500シリーズ Vol.64 THEキックボクシング D3公式
PSストア SIMPLE1500シリーズ Vol.64 THEキックボクシング2001年の7月5日に1500円で発売されたSIMPLE1500 THEキックボクシングのレビュー行くぜ!
現在はゲームアーカイブスで309円という文句なしのお買い得価格で販売中!
SIMPLE1500 THEボクシングの続編で、開発も同じジョルダンとなっているぜ。
ジョルダンというと乗り換え案内のサービスでお馴染みの人が多いだろうが、
こういう炎より熱いゲームも作っている老舗のゲームメーカーなのである!
俺がSIMPLEシリーズ好きになったのは、
2chのSIMPLEシリーズスレッドでTHEキックボクシングの攻略で盛り上がっていたのを見たのがきっかけ。
このTHEキックボクシングが無ければこの絶対SIMPLE主義も存在していなかったと言っても過言ではないッ!
http://www.geocities.co.jp/Playtown-King/9508/kick.htm当時の攻略情報をまとめたのがこちらだ。これから遊ぶ人は目を通しておこう!


内容はもちろん1対1の対戦格闘技ゲーム。
方向キーで移動、○ボタンでキック、□ボタンでパンチ、
×ボタンでキックガード、相手と反対方向に方向キーでガード。
これが基本基本で、ここから方向キーとパンチ、キックの組み合わせで多彩な技を繰り出せる。
ロングアッパー、ロングフックにリバーブロー。
コークスクリュー、ミドルキックにローキックにヒジ打ち、ヒザ打ちなどなど
×押しながら□なら相手を掴んで首相撲。これは格ゲーで言う投げに近いね。
方向キーを前、後ろに入力すればパンチかキックでそれぞれ異なる必殺技。
説明書に載っていない攻撃も数多く存在する。
前作との大きな違いは「キック」の導入、ガード操作がボタンから方向キー後ろに変更。
複雑だったラッシュ攻撃がボタン連打だけで発動可能。キャラクターの等身が高くなったなど。
必殺技やキャラなど共通している要素は多いものの手触りはベツモノだ。
パンチのコマンドも整理されて前作より分かりやすくなった印象。

相手の攻撃に合わせてカウンターを当てるとダメージが数倍になり、
クリーンヒットが決まればスタミナが最大の状態からも
一撃でダウンを奪えることがあるのは変わらないままだが
キックが加わったことで更に「一撃必殺感」がアップ。
中距離から相手のアゴを蹴り抜く一撃が決まった時の爽快感はスゴいッ!
ここで重要になってくるのが「キックガード」の概念。
キックは普通のガードでも防げるが、
キックガードで防ぐと相手がよろけるのでそこにカウンターでキックを叩き込めば大ダメージとなる。
ただしキックガードでガードできるのはキックのみ!
キックガードをしている時に顔にフックでも叩き込まれたらこっちが大ダメージだ!
更に○ボタンを軽く押す事でキックフェイントが可能。
キックを途中で止めてそのまま別の行動に移れる。
このフェイントを折り混ぜたキックによるリスクとリターンが本当に熱い。
こっちが不利な状況でも距離がピッタリ合った状態のキックが決まれば一撃必殺も夢じゃないが、
ガードで返されたら逆に一撃死の危機だぜ。
キックガードは「つま先が上がっているかどうか」で判断しやすいので、
キックをする時は相手のつま先を一瞬で見切ることが重要となる。
また、ボタン連打で簡単に出るようになったラッシュ攻撃も強烈。
画面右下と左下に表示されている数字が明るくなっている間に可能で、
最初の数発が当たれば相手がふらついて一方的にパンチが当たり続ける。
全部決まれば一気にダウン寸前まで追い込める。
一度使ってしまうとしばらく使えなくなってしまうが時間経過で回復だ。
ちなみにスピード系のキャラは数字が多く、パワー系のキャラほど数字が少ない。
どこで使うか、使った後の回復を待つか、それともそのまま攻めるか。この使い所を考えるのも面白い。
またCPUの動きがよく出来ていて、
キックを何度もしてるとキックにカウンターを合わせてくるし、
そこでキックのフェイントをかけると引っかけられる。
ちゃんとこっちの攻撃を学習した立ち回りをしてくるのだ。
1ラウンド30秒。
攻撃でスタミナはガスガス減っていくし、ほとんど3ラウンド以内で決着がつくテンポの良さ。
とにかく駆け引きの要素が濃密で、この前作以上のスピード感は病み付きになる。
初めて遊ぶとラッシュ攻撃と必殺技を連発して相手を潰す戦法を取りがちだが、
すぐ通用しなくなってパンチの打ち分けやキックの狙いどころを嫌でも意識させられるようになる。
そこからがTHEキックボクシングの本当のスタートだ。

ゲーム進行に合わせて増え、コマンドやアドバイス、キャラ設定などが読める攻略メモも健在。
少しずつ強くなり、少しずつ攻略メモを集め、そしてまた少しずつ強くなっていけるゲームになっているのだ。

システムだけでなくモードもパワーアップ。
CPUを倒して世界チャンピオンを目指すランキングモードは前作と同じだが、
勝つと新しいキャラが使えるようになるスカウトモードはストーリーモードにパワーアップ。
前作には無かったキャラ同士の会話デモが楽しめる!

キャラクターは熱血タイプの少年、アイドル、王族、改造人間、50過ぎてるのに現役復帰したおっさん、
元相撲取りで今は悪の組織の一員のプロレスラー、女軍人と今回も個性的な連中がズラリだぜ。
絵柄は前作より洗練されてカッコ良く&可愛くなったね。

新キャラもいるし、前作と同じキャラもイラストが一新されているぜ、
こちらは新主人公のサン。やめてくれないか!どっかのサイヤ人みたいなことを言うのは!

前作でアイドルになりたがっていたリョーコは晴れてアイドルデビュー。
ボクシングとアイドルを両立させて頑張っている。
いつかラブ☆アッパーの双葉理保と対戦してもらいたいぜ……。

前代未聞の「0歳児ボクサー」だったBTも成長して4歳に。
バスケにハマっているって設定は
恐らく同じ開発元が「SIMPLE1500 THEバスケット」や
「1on1」といった格闘バスケゲーも出してるところに引っ掛けたネタだろうね。
ストーリーは進むルートによって会話デモが変化。
時系列がバラバラで断片的な会話なので、
ルートを変えてみると「あの会話はここで繋がるのか!」みたいな楽しみも。

ストーリーで悲惨なのは前作のラスボス!悪のボスであるMr.クラウン!

あの余裕たっぷりのスマイルはどこへやら。
組織を追われ、薬物で体はボロボロ。
老人のような顔を晒して死に場所を彷徨っている。
必殺技は「回転して鋭い連続コンビネーションを放つ」という前作と同じものなんだけど、
コンビネーションの最後のパンチを出すところで手が動かなくなってガックリと座り込んでしまう。
もちろんその間は無防備だ……この時の手の奮え方が実に細かい。

勝利ポーズも、かっこよく回転してポーズを決めようとして倒れてしまい、
悔しそうに床を手で叩くという実にやるせない動き。
死に場所を求めて彷徨うMr.クラウンの最後の選択も断片的にストーリーで語られる。
これもベタながら良いんだよなあ。THEキックボクシングで一番好きなキャラですよ。
ストーリーモードだけでなく、ランキングモードも進化。
ポイントを溜めてチャンピオンを目指す内容はそのままだが、
「ランキングモード限定の敵キャラ」が登場。
技やモーションは別のキャラの流用だったりするが、
顔グラはあるし見た目はしっかり違うし、人数が多いのでかなり新鮮な気持ちでプレイ出来る。

中にはどこかで見たようなアイアン拳も……。

ポリゴンモデルの完成度もやたら高い。
もうパロディじゃなくてただの本人だこれ!

ナンチャンというキャラの背中をよーく見ると前作の宣伝が貼られていたり。小ネタが楽しい。
このランキングモードの敵キャラはキャラを世界チャンピオンにする度に
対戦モード限定だが1人ずつ使用可能になっていく。
登場キャラはプレイアブルキャラ15人+対戦モード限定の敵キャラ15人なので、
総勢30人という1500円とは思えないボリュームだぜ。

そんな素晴らしいゲームだが、欠点はなんと言っても難易度の高さ。
攻撃に使うボタン自体は多くないし取っ付きやすいシステムではあるんだけど、
2つしかないモードがどちらもかなり過酷な仕様。
ランキングモードは試合で受けたダメージが蓄積されていくので、ただ勝つだけではダメ。
試合でダメージを受けずに綺麗に勝って行かないと
世界チャンピオンになる前に体力の限界で引退することに。
ここは前作と同じだがストーリーモードが更に厳しい。
ランキングモードと同じで試合によってダメージが蓄積されてルート選択画面右上のゲージが減少。

ダメージを受けすぎるとラスボスを倒す前にゲージが無くなってゲームオーバーだ。
しかも進むルートを選んだ時にもゲージが減っていくし、
ルートによってはガクッと減ったりするので、ラクに進めるルートも探す必要もあったりする。
更に更に厳しいのが、
「倒した相手を使って先に進む」必要があること。
最初はサンとレッドという2人から選べるが、
サンを選んでリョーコを倒したら次はリョーコを使って進むことになるし、
そのリョーコで違うキャラを倒したら今度はそのキャラを使う。
つまり、
「すべてのプレイアブルキャラを使いこなして、
出来るだけダメージを受けないようにし、ゲージ減少の少ないルートを探す」必要があり、
かなり高い水準でこれをやらないとラスボスにすらたどり着けない。
しかもCPUが最初から結構強いし、後半はもっと強い!
最初に使えるキャラが3人しかいないので、
ストーリーモード攻略は必須なんだけど本当に厳しいバランス。
この難しさのおかげで攻略が盛り上がった側面もあるんだけど、
やっぱいくらなんでも厳しすぎるわ!
このせいでストーリーが結構面白いのに見るのが大変なのもつらいぜ。
ランキングモードの下位はちゃんと相手が弱いので、
ストーリーモードの前にそこから根気強くのし上がっていこう。

異論はあるだろうが俺の中ではこれこそがSIMPLE1500シリーズ最高傑作。
「SIMPLE2000で最高傑作は?」とか
「SIMPLEシリーズ全体での最高傑作は?」とか聞かれた場合は決められないが、
SIMPLE1500の中で、というくくりなら迷わずこのTHEキックボクシングを挙げる。
モードの過酷さで人を選んでしまうところはあるし
アクションゲームが苦手な人にはオススメ出来ないんだけど、
興味を持った人には是非遊んでもらいたい1本。
練られたシステム、動きも含めて個性的なキャラクター、圧倒的なスピード感。
遊ぶほどに奥深く、短い時間で遊べるのに時間を忘れて遊んでしまう。
今でも十分に面白い作品だ。
名作というのは基本的に時代の流れと共に色あせていくもので、
だからこそ色あせない名作は素晴らしい。
SIMPLE1500 THEキックボクシングは今もその輝きを失っていない。
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この一本からここがはじまったというのは感慨深いな。
レビューの締めとしても一年の締めとしても実に秀逸。
一ヶ月おつかれさまです。
どれも読み応えがあって楽しかったぞい。
来年もよろしくお願いします。
よいお年を。