
よるのないくにレビュー行くぜ!
よるのないくに 公式サイトよるのないくには2015年10月1日に
コーエーテクモゲームスから発売された定価7344円で発売されたPS4/PS3/VITA用ソフトだ。
開発はガスト長野開発部。俺が買ったのはPS4版ね。
PS4でも発売される完全新作タイトル。
俺がガストのゲームを遊ぶのはエリーのアトリエ以来だしたまにはガストゲーを遊ばねば!
というわけで発売前から気になっていたタイトルだ。

800年前に起こった人類と妖魔の戦いは人類の勝利に終わったが、
その結果、妖魔の長「夜の君」の青き血が世界に撒き散らされた。
青き血に触れたものは邪妖と化し、人々を脅かす存在へと変わってしまう。
こうして世界は人々が日常を送る昼と、人に害をなす邪妖が闊歩する夜に二分された姿に変貌を遂げた。
人々が安息の夜を奪われた世界だからよるのないくにってことね。


夜の君は完全に倒すことは出来ず、定期的に選ばれる「聖女」の犠牲によって封印を続けていた。
今回の聖女に選ばれてしまったのがヒロインのリュリーテス。
その親友であり、聖女を護る任務を命じられた半分人間で半分妖魔の半妖アーナスが主人公。
聖女を犠牲にしなければ封印は解け世界は滅びる。
世界か!親友か!運命の間で揺れる二人の少女!と、まあそんなストーリー。
ジャンルはアーナスを操作して仲間モンスターと共に戦う3DのアクションRPGだ。

□ボタンでコンボ攻撃、△ボタンで強攻撃、○ボタンでゲージ消費の大技。
コンボの途中に強攻撃を挟むことで攻撃が変化するので、操作系統はやや無双シリーズに近い。
武器は剣、ダガー、ハンマーに銃など5種類あってレベルアップで増えていく。
従魔と呼ばれる仲間モンスターを最大4体まで同時召喚可能で、
基本的には自動で戦ってくれるが、
4種類の作戦とSPを消費しての強力なバースト攻撃の指示も出来る。
従魔は攻撃タイプや回復タイプ、補助タイプなど色々いる。
従魔を増やすには特殊な召喚アイテムが必要なんだけど、
ドロップや店売りで簡単に手に入るし、
全20種類しかいないので普通に進めていくだけでほとんど手に入る。

敵を攻撃して変身ゲージを溜めればアーナスが妖魔に変身可能。
一定時間強力な攻撃で敵をボコボコに出来るぜ。
基本的にはメインシナリオを追っていく一本道の構成だが、
サブシナリオがいくつかあるし、本編に関係ない依頼をこなして稼いだり、
特殊な状況下で戦う闘技場をやりこんだりも出来る。

レベルアップする時は血(経験値)を一定以上溜めて、
拠点であるホテルから夢の世界に移動して行う。
ここだとやたらエロい服に着替えるんだけど……エロ服の理由がお姉チャンバラみたいだなこれ!

そんな内容なんだけど全然ダメだった。
アクション部分の底が浅く、最初から最後まで攻撃系の従魔のバーストと変身のゴリ押しでクリア可能なので、
4種類の従魔の組み合わせを考える楽しみが薄い。
敵の攻撃をひきつけるスキル持ってるヤツとか、
アーナスの能力を強化するヤツとか特徴はあるんだけど、
結局、攻撃系3体と回復系1体を適当に入れるだけでいいじゃんっていう。
アーナスの武器は5種類あるんだけどアクションは固定で、
剣を使い込むと強力な剣技が増えるとかそういう要素も無い。
最初から最後までどうしても似たような動きで敵を処理するだけになる。
ワラワラ出てくる敵を薙ぎ倒すゲームではあるんだけど
キャラの動きが軽いせいもあって爽快感もそこまでない。
敵の攻撃をタイミングよくガードすると攻撃を無効化して回復するジャストガードもあるんだけど、
敵味方入り乱れての乱戦が基本のこのゲームでそれがあっても……。
ボス戦では使えることがあるかなってくらいだ。まあ力押しした方が早いんだけども!
アクション部分が凝ってるわけでもないし、仲間との連携システムが凝ってるわけでもないし、
アーナスと従魔の成長システムが凝ってるわけでもない。
アクションゲーム苦手な人でもお手軽に遊べるといえば遊べるが……。
クリア後のボスは結構強いんだけど、
これも初見殺し要素が強かったり単純に攻撃力が高かったりってだけだからなあ。
そこら辺を見切れば結局は力押しで殴り殺すだけになる。
依頼は「○○を○○体倒せ」「○○へ行け」とかばかりで、
簡素な依頼文が添えられてるだけの内容なのでこなしていて楽しくは無い。
おまけ的な闘技場で、
やっと従魔や装備の組み合わせをかなり考えないと高ランクが取れないバランスになるんだが、
本編が本編なせいであんまり遊ぶ気になれなかった。
カメラがやや見辛い時があるくらいで凄くストレス溜まる!って要素は無く、
仲間と一緒に敵をボコったりレベルを上げていく楽しさもあるといえばあるので遊べないことはないんだけど
オリジナリティを感じられる要素が全然ないし本当に底が浅いぜ。

ストーリーは掛け値なしに酷い。
いわゆる「百合」的な空気を押し出した作品ではあるんだけど本当に空気だけで、
まずゲーム開始の段階でアーナスとリュリーティスが昔からの親友で好感度MAX状態。
そこにいたるまでの過程が完全にすっ飛ばされているし、
しっかり語るべき重要な過去話や設定も
思い出したようにセリフの端々で触れる程度だから二人のイチャイチャを見せられても冷めるばかり。
ストーリーは終始そんな調子で、
基本的な説明やそこにいたる間での流れを一切描写せずに、それっぽいだけのシーンを見せて終わり。
とにかく人物も設定も掘り下げが全然無い
例えば妖魔には吸血欲求があり、アーナスは好物のチョコレートでそれを誤魔化しているって設定があるんだけど、
1箇所リュリーティスの血を吸いたくなってるっぽいシーンがあったっきりでそれっきり。
でも、代用品としてトマトジュースを送りつけられて「こんなもの代わりになるか!」ってキレるシーンはあったり
チョコレートが好きって部分はやたら何回も出てきたりする。
リュリーティスがアーナスを想う理由に関する描写は少ないのに、
「リュリーティスは料理がヘタ過ぎてカップケーキを作ると爆発する」っていう
まったく面白くないギャグはめっちゃ沢山出てくる。おい何年前のゲームだこれ。
料理ヘタ設定、完全にギャグシーンのためだけに設定されてて理由何も無いのがひどい。
そもそも「人々が日常を送る昼と、人に害をなす邪妖が闊歩する夜に二分された世界」で、
それが800年前から続いているはずなのに、
舞台が島1つだけで、ゲーム中に移動できるのが拠点のホテルとダンジョンだけで、
メインキャラ以外のモブキャラが画面に1人も出てこないので、
夜とか世界の終わりとか言われても全然伝わってこない。
依頼やセリフの端で昼間の人々の生活もちょっと触れられてはいるんだけど
すげぇ普通に平和な暮らしって感じで世界観がますます分からん……。
登場人物で名前付きのキャラが敵を含めても10人未満って少なすぎるのでは。
味方側なんかアーナス、リュリーティス、
拠点となるホテルの支配人、客としてやってきた2人の5人だけだぞ。

そんな感じで設定や世界観の掘り下げがまったく出来てないのに、
ギャグキャラ2人のしょーもないギャグを延々と見せられるのもなかなかつらい。




この痛いところを突かれた時に「ぐさっ!」という効果音を口で言うギャグが何回も繰り返されるので、
こういうのダメな人はかなりつらいと思いますね!つらい。
有角教授、「ぐさっ!」と、「そろそろ世界終わりそうですねー」と、
「アーナスさん!是非助手に!」「断る」「ズコー!」の3種類のギャグをやる機械に近かったな……。
実は機械なのでは?


ホテルのロビーでダンス初めるシーンもなかなか唐突だった。
完全にダンスシーンやりたかっただけで流れ何も考えてないだろうっていう。

「そんな設定だったの?!」「今初めて聞いたわ…」「そんな話だったっけ」「あの伏線っぽいのどうなったの?」
がずーーーーっと続くゲーム。
それっぽいだけのシーンを繋ぎ合わせただけで
大小含めて説明が全然されない展開が最初から最後まで続くので
遊んでいて常に置いてけぼりにされる。
シナリオが成立してないと言い切ってしまってもいいくらいだぜ。


褒められるところといえばキャラのモデリングかなあ。
全体的にVITAのゲームと考えても大分グラフィックショボいんだけど、モデリングはまずまず。
コーリンさんとクリスのデザインも好み。
アーナスの最終変身であるナイトメアフォームやラスボスのデザインも良かった。


仲間モンスターである従魔はホテルのロビーをウロウロしていて
話しかけるとちょっとしたイベントがあったり、性格も個性的だったりで楽しい。
あとBGMもいかにもRPGなメロディでカッコいい。
蒼血鉄騎カルーセル戦のBGMがお気に入りです。

アクション、仲間システム、ストーリー、世界観。
完全新作でここまで心に残らない作品を作れるのは凄いと素直に感心するレベル。
キャラのモデリングと音楽くらいしか褒めるとこない。
クリアだけならすぐできる程度のボリュームで、シナリオはどうしようもないし、
ゲームとしては凄くダメな部分も凄く良く出来た部分もなく、
システム的にも新しいことをやっているわけでもなく、何もかもが無味乾燥なので
「続編出たらここをこうして欲しい」という意見を言う気にすらなれない。
遊んだ後に何も心に残らない、なにもないくにだったよ……。
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ワラタ。ドラマCDを面倒くさくしただけみたいなシェルノよりはずっと良さそうに思えるんだが、なまじゲームの形になってるせいかこっちの方が酷評してる人多いね。
キャラが少なかったり舞台が狭いのは予算の問題だと思う、アトリエみたいに素材使いまわせないから。