
PS4本体と同時に入手して少し前にクリアしたKNACKのレビュー行くぜ!
KNACK(ナック) | プレイステーション® オフィシャルサイトKNACKは2014年の2月22日にSCEから発売されたプレイステーション4用ソフトだ!定価は4980円!
PS4日本ロンチ最大の目玉として、本体にもダウンロードコードが同梱。
SCEジャパンスタジオが送る渾身の作品である!
俺は同梱パックを買ったのでダウンロードコードを使ってプレイしたぜ。
PS4買ったらやっておかねばと思っていたタイトル。
舞台はとある惑星!
そこで暮らす人々は、遺跡から発掘された「レリック」と呼ばれる古代のパーツからエネルギーを抽出し、
車や機械など動かす生活をしていた。
人間と敵対するゴブリン達もいたが、彼らは原始的な武器しか持っておらず、平和が保たれていた。
しかし最近になって、ゴブリン達が突如、近代的な武器を携えて侵略を開始する。
ゴブリンが何故近代兵器を入手できたのか?
調査のために編成されたチームに混じる小さなヒーロー。
彼こそが天才科学者であるバーガス博士によって生み出されたナック!
全身が数十個のレリックの集合体で出来たナックは
体に取り込んだレリックの数により大きさが変化!最大で10メートル以上にもなるのだ!
ナックとバーガス博士、そして仲間たちの冒険がはじまる!
とまあ、そんなストーリーである。

ジャンルは3Dのアクションゲーム。
マップはほぼ一本道でとにかく敵を倒して突き進むシンプルな構成だ。
基本操作は方向スティックで移動、右スティックで緊急回避、×ボタンでジャンプと2段ジャンプ。
□ボタンでパンチ、○ボタンでゲージを消費して放つ強力なスーパームーブ。
特定の敵やオブジェは投げることも可能。

ジャンプや緊急回避で敵の攻撃を避けてぶん殴る!
基本的にほぼこれだけで進めるゲーム。

スーパームーブは無敵のタツマキ状態で敵を攻撃したり、
画面内の敵にまとめて遠距離攻撃を仕掛けたりとどれも強力だが、
ゲージが溜まり辛く、ここぞという場面でしか使えないので
シューティングゲームで言う「ボム」に近いポジションだ。
近接攻撃をする敵と遠距離攻撃をする敵がコンビで出てきたり、
敵の配置や組み合わせによる立ち回りを考えさせられるゲームかな。
敵は「この動きの後にこの攻撃してくる」みたいなパターンがかなり分かりやすいので、
攻撃パターンをしっかり見切ってパンチを叩きこむ楽しさがある。
どことなく昔のアーケードゲームっぽい手触り。
死んでもチェックポイントからすぐ再開出来るのはいいんだけど
敵の攻撃を2~3発喰らっただけで死ぬ上に、チェックポイントとチェックポイントの間が割りと長め。
慣れるまではやや難易度高めね。
ほぼパンチだけのゲームだけあって敵をぶん殴る感触はなかなかのもので、
トドメを指す時のスローモーション演出はかなり気持ちいいぜ。

ステージのあちこちにあるレリックを回収することでナックは少しずつ大きくなっていく。
ナックが小さい時はそこら辺の虫とかチビゴブリンとかと殴り合いをするだけだが、

ナックがデカくなると敵も戦車や巨大ロボなどが登場するのだ。

遺跡ステージや工場ステージなど様々なステージがあるが、
ナックがデカくなる演出が一番光っていたのが市街地ステージ。
巨大ナックがビルを壊して先に進む!戦車を殴る!戦車を持ち上げてぶん投げる!
そこら辺の車を拾って飛んでいるヘリに投げつけて叩き落す!
ビルからナックを応援してくれる人がいたり、逆にナックを見て逃げる人がいたりと細かい反応もいいね。
こういうステージばかりだったら良かったのに!

本作の問題点はとにかく展開が淡々としている事。
シンプルな操作で敵の攻撃パターンを見切って殴る!
一本道のステージで合間合間にトラップや穴を飛び越えるジャンプアクション!
楽しい……楽しいんだが、ホントにこれがずーーっと続くのでダレてくる。
ボスを倒したりステージをクリアしても新しい攻撃方法というのは一切増えない。
最初から最後までパンチ、パンチ、パンチだ。
敵も種類はそれなりに多いんだけど、似たような個性付けの敵が多いからなあ。
全体的にステージが長めで、似たような景色が延々と続くから遊んでてどんどんしんどくなってくる。
ナックは「数十個のレリックの集合体」という設定なんだから、
もっとダイナミックに姿を変えて多彩な攻撃をしてもいいのにそういうのは無し。

一応、ステージによっては氷を取り込んだ姿や、燃える木を取り込んだ姿、機械を取り込んだ姿などにはなる。
見た目はなかなかの迫力!
……が、氷だったら「体が氷なので陽の当たる場所にいると体力が減る」とか、
木だったら「体が燃えているので体力が減り続ける。その代わり特定のポイントで全回復可能」とか、
なんか体力の増減方法がちょっと違うだけのフォームチェンジばかり。
どれも攻撃方法や挙動は通常のナックと同じなのでまったく物足りない。結局パンチだ!

カメラが引いた視点ばかりなので、ナックが大きくなっても巨大感があんまり無いってのも不満。
イベントとかだと怪獣映画っぽい巨大感のあるアングルがちょいちょい挟まったりするのは実に良かったんだけど、
通常プレイだと変に引いた視点がメインなのよね。
なんか淡々としたゲームに感じるのはここにも問題がある気がする。
ステージの各所に隠されたパーツを集めることで特殊能力が解禁される要素もあるが、
これが数が少ない上にランダムだから1周だとロクに集まらず、
何種類もあるのに終盤でやっと1つか2つ解禁されるレベル。
アイテムによってはナックの新たな姿も解禁されるんだけどこれは2週目以降限定。
新たな姿って言ってもステータスのバランスが違う程度なんですけども。
スマホで「ナッククエスト」という
別に面白くもなんともないけどアイテム集めが可能なパズルゲームが配信されていて、
そっちをプレイして連動しないと1周では全く集まらない。
なんで何周もすることが前提のバランスなんだよ!アクションゲームとしては1周がかなり長いのに!
しかもアイテムは周回して引き継げるけど同じ難易度のみ。
1周目をノーマルでクリアして、2週目をノーマルでプレイすればアイテムは引き継がれるけど
2週目をハードに変えたら引き継がれないってことね。
「敵の攻撃に当たらずにパンチを当て続けるとコンボ。コンボを継続させるほど攻撃力がどんどん上がっていく」
っていうコンボメーターと、
「敵に攻撃を当て続けると時間がスローになっていく」
っていうタイムディレイターなんかは装備すると緊張感と爽快感がグッと増すので、
序盤から解禁していいくらいなのになあ。

ストーリーはかなりひどい。
それっぽいだけの強引な展開でいかにもなご都合主義展開ばかり。
敵であるゴブリンは普通に人間と同じ言葉を喋るし、
古代に人間と戦争をして以来、文明を奪われて迫害されていたようなんだが、
そこがとくに掘り下げられることは無い。
ゲーム中では野蛮な侵略者として処理されて和解するような展開はそぶりも見せないし、
味方側の博士もゴブリン達に吐き捨てるような態度を取るから実にモヤモヤする。

博士は見ててイラッとする言動が多いですね。
「お姫様」もちょっと責任感無さ過ぎてひどすぎる……。
登場キャラクターは魅力が全然無いし、
それに加えて登場する敵キャラはゴブリン含めて
「あいつどうなったの?」って状態のままいつの間にかフェードアウトしていくキャラばかり。
ゴブリン達はどうなったんだよ?!
最後の黒幕はラスボスの巨大兵器とラストステージを起動させに行った後どうしたんだよ?!
そこで出番終わりっておかしいだろ!

ゴブリンの巨大ロボはなかなかカッコいい。

シナリオの一番ダメな部分は主人公であるナックのキャラがまったく立っていない点。
成長も無い、友情も無い、過去の掘り下げも無い。
ひたすら博士の言いなりになって敵を処理していくだけ。
ゴブリンから「人間の手先め!」とか言われるんだけど、本当にその通りで人間の手先でしかないという。
ナック自身のセリフが少なすぎて何考えてるか全然わからないし、
体が小さい時と大きい時で声が違うっていう演出もまったく生かされてない。

たまに喋ったかと思うと「口説いてるつもりか?」とか
「君達、話し合わないか(敵に囲まれた状態で)」とかしょーもないジョーク混じりのセリフである。
操作しててナックを全然好きになれねぇよ!
戦闘中に出てくる敵やゲーム展開に合わせてガンガン喋らせれば良かったのになー。
ナックの言動で一番面白かったのは街の街頭モニターを通して敵ボスから
「お前は破壊するのが好きだろう、私につけば壊したい放題だぞ」とか言われたナックが、
「お前とは違う!」と、近くにあった車を投げつけて街頭モニターをぶっ壊すシーンですね。

ナックって何かをぶっ壊す時はやたらノリノリなので、やはり破壊するのが大好きなのでは……。
とにかく底が浅くて色々と投げっぱなしのままなんとなくハッピーエンドというシナリオである。

シナリオ以外はひどいってほどではない。
数十、数百のパーツが集合しているナックのビジュアル表現や、
登場キャラのCGアニメがそのまま動いてるような質感はPS4の性能ならでは。
PS4のロンチだからこそ、
あえてカンタン操作で誰でも遊べる王道アクションゲーム的なものを目指したというのも分かる。
相手を殴る爽快感や攻撃パターンを見切る楽しさもしっかりある。
ただ、やはり展開が単調だし全体的に薄味で設定もまったく生かせておらず、
遊んでいて全然ワクワクしない内容だった。
ロンチに間に合わせようとしたせいもあるんだろうが、面白くないわけじゃないけど微妙な1本。
これをロンチの目玉として出したら、PS4という新ハードでの期待感の裏返しで酷評されるのもやむなしね。
PCエンジンのロンチとして発売されて
「キャラがデカい!ファミコンと全然違う!……でもゲームとしてはスパルタンXより微妙じゃね?!」
という評価だった「THE功夫」が現代に蘇ったものと考えよう。
そう……KNACKはTHE功夫だったんだよッ!
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